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吉田修平法律事務所 弁護士 吉田 修平「相続土地国庫帰属法について」

「相続土地国庫帰属法について」

 父が亡くなったのですが、田舎のほうに全く価値のない土地があるようです。
父も生前、「ご先祖から相続した土地だけれども、全然価値がないし、固定資産税を払うだけでばかばかしい。」などと常々言っていた土地です。
 私も田舎に行って確認したことはない土地なのですが、どうしたらいいでしょう?
 なお、父は、東京で亡くなりましたので、新宿にマンションを所有しておりましたし、それ以外にも、株券や預貯金などもあります。

 このような相談をされることがあります。
 
 このような場合に、従来は、相続の放棄をするしかなかったのですが、相続放棄をしてしまうと、価値のない田舎の土地だけではなく、東京のマンションや株券等の有価証券及び預貯金等の権利も全て失うことになってしまいます(民法第939条)。

 それでは困りますので、2021年に所有者不明土地に関連する法律がいくつも成立したのですが、その一環として、このようなケースに対応する相続土地国庫帰属法という新しい法律ができました。

 この法律により、不要な田舎の土地だけを国に引き取ってもらう(国庫に帰属させる)ことができるようになりました。

 その内容は、以下の通りです。

 (1)申請について

 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限ります。)により土地の所有権の全部又は一部を取得した者は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を求めることができます。所有者は、自然人に限定されています。

 (2)費用負担について

 申請する者は、承認申請に対する審査に関する「手数料」を納める必要があります。また、審査に通ったあとで、管理に関する「負担金」を納める必要があります。負担金については、土地の管理に要する10年分の標準的な費用の額を勘案して政令で定めるところにより算定した額とされました。また、承認申請者が負担金を納付したときに土地の所有権が国庫に帰属することとされました。

 (3)要件について

 国庫帰属が認められるための要件が詳細に定められており、現状のままで管理をすることが将来的にも容易な状態であることや、管理コストを抑制することが求められており、以下の場合には承認されません。

 ① 建物の存する土地
 ② 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
 ③ 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
 ④ 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限ります。)        
   により汚染されている土地
 ⑤ 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
 ⑥ 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限ります。)がある土地のうち、 
   その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
 ⑦ 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
 ⑧ 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
 ⑨ 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地   
   として政令で定めるもの
 ⑩ 以上に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政
   令で定めるもの

 (4)調査について

 法務大臣は、承認申請の審査のために、土地の実地調査、関係者からの事情聴取及び資料の提出等の事実の調査を行うことができ、関係者に必要な協力を求めることや、必要があるときは他人の土地に職員を立ち入らせることができることとされました。

 ※参考文献『【Q&A】所有者不明土地の法律相談』吉田修平(プログレス 2026年)

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