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金融日本経済新聞 シニアライター 宮田佳幸「『高金利』預金の注意点」

日本の金利が上昇傾向にあります。銀行が「高金利」をうたって預金者を獲得しようとする動きも広がっています。しかし、様々な条件付きで「高金利」をうたう預金商品の中には、預金者にとって必ずしも得とはいえないものもあります。
まず注意が必要なのが「抱き合わせ」商法です。代表的なのが「退職金プラン」などと銘打って、投資信託を一定額以上購入すると、購入額と同額まで定期預金の金利を大幅に引き上げるものです。
こうしたプランは、金利優遇が「最初の3カ月」など期間限定で、販売手数料などが高い高コストの投資信託とセットのことが多いのです。預金の利息を上回る投信販売手数料を支払うことも多くなります。銀行が2〜3%程度の販売手数料を設定しているのと同じ投信が、ネット証券では販売手数料ゼロの例もあり、投信を保有する間負担する信託報酬も、運用対象が同じならネット証券で低コスト商品を選べます。
一部のネット銀行や地方銀行が扱う「仕組み預金」も要注意です。仕組み預金は通常の定期預金よりも高い利息が得られ、満期まで持てば原則として元本は保証されます。ただし、複雑な「仕組み」になっていて、その結果リスクもある商品なのです。
仕組み預金は大きく分けて「満期の時期が変わるもの」と「満期で受け取る通貨が変わるもの」の2種類があります。満期の時期が変わるものは預け入れから一定期間たつと、銀行の判断で満期を繰り上げることが可能で、基本的には銀行にとって有利な時期に満期が設定されます。しかも途中解約すると「損害金」が発生し元本を下回る金額しか戻らないリスクがあります。
一方、満期時に受け取る通貨が変わるタイプは、為替相場が円安に振れれば元本を円のままで受け取り、円高に振れれば外貨で受け取ることになります。通常の預金より利息は高いのですが、円高時の為替差損のリスクを負う一方、円安時の為替差益は得られないのがデメリットです。
金融商品を選ぶ際には「仕組みがよく分からないものには手を出さない」のが鉄則です。「高金利」をうたう預金が本当に得なのかどうか、慎重に検討しましょう。