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認定NPO法人NPO会計税務家ネットワーク理事長                    一般社団法人 全国レガシーギフト協会理事                                   税理士 脇坂 誠也「遺贈寄付の税務(4回目)」

「遺贈寄付の税務(4回目)」

                  みなし譲渡課税の対策(その1)  

 前回から、不動産や株式など(以下、「不動産等」とする)の現物資産を遺贈寄付した場合の課税上の取り扱いについて解説しています。  

 不動産等の現物資産を遺贈寄付した場合には、みなし譲渡所得税が課税される可能性があることを前回述べました。  
 みなし譲渡所得税は寄付をした不動産等に含み益がある場合に課税されるが、含み益があれば必ず課税されるわけではありません。含み益があっても課税されないケース、あるいは課税されても課税額が少なくなるケースについて今回見ていくことにします。

1.居住用財産を遺贈寄付した場合  
 居住用財産の特別控除の適用を受ける不動産を遺贈寄付した場合には、みなし譲渡所得税部分について、特別控除の適用を受けることができるので、含み益があっても、結果的に課税が発生しない可能性があります。

 例えば、寄付者がお亡くなりになる直前まで住んでいた不動産を、相続人で引き継ぐ人がいないので、地元で活動するNPO法人等に寄付をするとします。みなし譲渡所得税の非課税特例を適用するという方法も考えられますが、特例を使うためには、寄付を受けた不動産等をNPO法人等が公益目的事業に直接供する必要があり、そのような使い道がない不動産等であれば、売却するか、他の人に賃貸するしかなく、そのような場合には、非課税の特例を受けることはできません。

 しかし、居住用財産の特別控除の適用要件を満たしていれば、みなし譲渡所得についても、3,000万円までは特別控除を受けることができ、結果的に税額が発生しないという可能性もあります。  

 居住用財産の特別控除の適用要件は、以下のとおりです(租税特別措置法第35条)。

2.寄付金控除を受ける場合
 寄付先が認定NPO法人や特定公益増進法人である場合には、寄付金控除を受けることができます。これは、不動産等の現物寄付であっても同様です。その場合に、寄付金控除の対象となる金額(特定寄付金の額)は、寄付をした時の、その寄付をした資産の価額(時価)によるので、みなし譲渡課税におけるその資産の価額(時価)と同額が特定寄付金の額となります。

 ただし、寄付金控除は、特定寄付金の額のうち、「総所得金額等の40%が限度」となっています(所得税法781項)。従って、被相続人にみなし譲渡による所得以外の所得が少ないか、存在しないような場合には、みなし譲渡所得のうち寄付金控除では相殺できない金額が発生する可能性があり、その場合には、その相殺できない金額に課税されます。

 以下、具体例を示します。

寄付金控除を受けることで、課税所得金額は大幅に圧縮されますが、寄付金控除の対象になる金額が「総所得金額等の40%が限度」というところに引っ掛かり、全額は控除できないケースが多いのではないかと思います。

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不動産を寄付する場合、少しでも売却した際の税負担を軽くしたいものです。税金については税務署や税理士にご相談されることをお勧めします。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、遺贈寄付のご相談をお受けしており、不動産も売却可能なものはご相談に応じます。まずは気軽にご相談ください。

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