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日本経済新聞編集委員 辻本 浩子日々の暮らしを高める「受援力」

日々の暮らしを高める「受援力」

  高齢期の暮らしに大切なもの、身につけておきたい力はなんだろうか。
 

 体力、健康――。これに気を使う人は多いだろう。
 資力、財産――。こちらも確かに重要だ。人によって、さまざまな答えが浮かぶ。

  そこにぜひ、追加しておきたいものがある。「受援力」。支援を上手に受ける力のことだ。

 聞き慣れない言葉かもしれない。防災の分野でよく使われてきた言葉だ。なにか災害が起きると、多くのボランティアが被災地を訪れる。ただ、受け入れ態勢がうまくとれていないと、復興にうまく生かすことができない。だから被災地は「受援力」を高めよう。そういう意味の言葉だ。 

 この力が必要なのは、日々の暮らしでも同じだろう。必要に応じて、さまざまな福祉サービスなどを上手に受け入ることが、高齢期を快適に過ごすうえでカギとなる。支えられ上手になるコツ、ともいえる。

  ポイントはいくつかある。まずは、声をあげられるかだ。 

 日本ではともすれば「人のお世話にはなりたくない」「自分でやらなければ」という意識が強くなりがちだ。つい自分だけでがんばってしまう。 

 ただ、老いは自然の摂理、だれにとっても当たり前のことだ。気持ちを切り替えれば、暮らしの幅は広がっていく。

 介護の取材をしていると、もっと早くサービスを利用していればよかった、という声をよく聞く。外部の力をうまく借りるのは、大事な生活のスキルだ。 

 コミュニケーションも大切になる。なにも難しいことではない。相手も自分も尊重する、「ありがとう」と感謝の気持ちをしっかり伝える。基本はごくシンプルだ。支えてくれる人に、過度にへりくだってしまったり、逆につい強くあたってしまったり。それでは自分も相手も疲れてしまうだろう。


 日ごろから地域になじみがあると、いざというとき声を上げるハードルは低くなる。配食や見守り、地域のサロン......。自分の住む場所にどんな福祉サービスがあるのか、日ごろから意識しておくといいかもしれない。自らボランティアなどとして、活動に参加するシニアもいる。
 

 「支える」と「支えられる」は表裏一体だ。だれかの笑顔が、だれかの元気の源になることもある。受援力を早くから意識しておくことは、社会とかかわり、自分の世界を広げる好機になる。

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