読み物

日本経済新聞編集委員 辻本 浩子「アマビエの力 エンディングノートの力」

「アマビエの力 エンディングノートの力」

 若い世代の間で、「アマビエ」が人気だ。

 アマビエ? 聞いたことがない人も多いだろう。江戸時代に熊本県の海に現れたという、不思議な妖怪だ。京都大学付属図書館が所蔵する文献に、半人半魚のような絵が残っている。「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる氏も、イラストに描いている。妖怪ファンの間では前から知られた存在らしい。

 おもしろいのは若者が次々と、アマビエを絵などに描いて表現していることだ。疫病が流行したら、私の絵を人々に見せるように――。これが新型コロナウイルスの流行のさなか、若い世代らの心を捉えた。今やSNS上には、個性豊かなアマビエたちがあふれている。決して、深刻ぶったものではない。単に描くのが楽しいから、だけでもないだろう。

 描くこと、表現することは、きわめて主体的、能動的な行為だ。

 目には見えない不安を、目に見える絵に転換して、前向きに乗り越える。

 不安に操られるのではなく、自分でコントロールする。

 そんな力強い行為だからこそ、人気を呼んでいるのではないか。

 考えているだけでは、もやもやが膨らむ。行動して目に見える形にすれば、気持ちも上向く。表現すること、描く・書くことの効用は、人生のさまざまな局面においても同様だ。

 例えばビジネスマンであれば、どうやって自分を成長させるか。夢や目標に近づくためのノート術、図を使った思考の整理法を実践している人も多いだろう。

 終活においても、それは変わらない。どこから終活を始めようかと迷っているなら、まずはエンディングノートを書くことから始めてはどうか。

 目に見えないものは、対処しにくい。だが形を与えれば、客観的に向き合える対象物となる。自分はどう暮らしたいのか、どんな夢や不安を持っているのか。まずは書き出してみたい。

 それだけで少し、すっきりすることもあるだろう。後日あらためて読み返せば、これまでと違った見方、対処法が思い浮かぶこともあるはずだ。

 書店にはさまざまなエンディングノートが並ぶ。自治体が住民向けにつくっていることも多い。なんなら手元にあるノートから、始めてもいい。そこから次へとつながっていく。

 自分の思いを形にすることは、明日をよくするための一歩になる。自分らしく人生を駆け抜けるために、表現する力、描く・書くことの力を、改めて味方につけたい。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

エンディングノートは、終活の第一歩とも言われます。エンディングノートを書き進めることで、ご自身のこれまでの人生を振り返りながら、大切にしていたあなたの「思い」を確かめることができます。あなたの「思い」を書き記すことは、ご自身の生きた証を改めて見つめなおすことにもなるでしょう。そして、遺言書で生きた証を未来に遺すことができます。遺言書で、あなたの「思い」のつまった財産を、未来の社会貢献活動のために寄付として遺すこと、それが遺贈寄付です。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、「遺贈寄付」にまつわるご相談をお受けしています。財産の遺し方を遺言書に記し、安心して余生を過ごしたいとお考えの方は、どうぞご相談ください。

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