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日本経済新聞 シニアライター 宮田佳幸「定年退職、公的医療保険の選択肢」

「定年退職、公的医療保険の選択肢」

 会社勤めをしていた人が定年退職を迎えると『健康保険をどうしたらいいのか』と悩むことも多いようです。

 定年後も同じ会社で、再雇用などの形で働き続ける場合は、その会社の健康保険(健保)に加入を続けることになります。別の会社に再就職してフルタイムで働く場合も、再就職先の健保に加入し直す決まりです。パートやアルバイトで働く場合も、週の労働時間が20時間を超えるなど一定の条件を満たす場合は勤務先の健保に加入することになります。

 定年退職で完全にリタイアする場合や、フリーランスで働く場合、パートやアルバイトで健保に加入しない場合は主に3つの選択肢があります。まず、定年まで働いていた会社の健保で「任意継続」という手続きをするケース。次に、国民健康保険(国保)に加入するケース。もう一つ、配偶者など生計を一にする家族が勤務先の健保に加入している場合は、その被扶養者になるという選択肢もあります。

 健保は退職後、最長2年間は「任意継続」という形で加入し続けることができます。ただし、退職前の被保険者期間、つまり加入期間が2カ月以上あったことが条件です。保険料は健保によって異なりますが、退職まで会社が負担していた分も全額自己負担です。一方、配偶者が専業主婦(主夫)の場合など、健保の被扶養者だった家族は任意継続でも引き続き被扶養者として加入でき、保険料がゼロで済むのは大きなメリットです。健保独自の「付加給付」などが任意継続でも引き続き受けられることもあります。

 国保の保険料も市区町村によって異なりますが、前年の所得に応じて保険料が変わり、扶養家族の分も保険料を払う必要があります。一般的に、60歳で定年退職の場合は退職直前の所得が多いので、国保は保険料が高くなりやすく、健保の任意継続の2倍以上になるケースもあります。

 任意継続の保険料は、勤務先の健保に問い合わせれば教えてくれます。国保は市区町村の窓口に問い合わせると試算してくれることが多く、市区町村のウェブサイトで国保保険料を試算できるシミュレーターを用意している場合もあります。退職後2年目以降は前年の所得が大きく減るので国保の保険料が安くなり、金額が逆転することも。その場合は任意継続から脱退して国保に切り替えることもできます。

 配偶者など家族の健保の被扶養者になるには、60歳以上なら年収180万円未満がまず条件になります。金額は「所得」でなく、あくまで「年収の額面」で、「今後1年間の収入の見込み」でOKです。詳しい条件は家族が加入する健保に問い合わせましょう。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

生活の身近にある医療保険。定年退職の際、継続か新加入か迷いますが、知恵と工夫で賢く選択したいものです。退職時の生活の変化に合わせて、将来の財産の遺し方について考えることも大切なこと。社会貢献のためにご自身の遺産を未来に活かしたいとお考えの方に、日本財団遺贈寄付サポートセンターはいつでもご相談に応じます。

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