遺贈の活用事例
日本財団夢の奨学金養護施設出身者のための進学支援
ハンディを克服していく姿を応援
日本財団は2016年4月、「日本財団夢の奨学金」という給付型奨学金制度をスタートさせました。支援の対象は、事情があって実の家族と暮らせなかった、社会的養護(※)のもとで暮らした若者たちで、大学、大学院、短大、専修学校などの卒業までの入学金および授業料の全額と、住宅や生活費の補助として一人当たり月額8万円を支援しています。家庭的な環境でのハンディがありながらも、勉学やサークル活動などの学生としての経験をできるだけ多く積んでもらうこと、さらに、すべての奨学生にソーシャルワーカーが寄り添うことで日々の学校生活から就職までサポートし、それぞれの若者たちの自立を支援しています。
2019年、第5期生の選考が行われ応募総数221名の中から審査のうえ13名が選定されました。そして4件の遺贈寄付と1件の相続財産からの寄付金を、第2期生から5期生までの勉学の意欲に燃える若者たちの夢の実現に役立てることとなりました。これまでに夢の奨学金を受けた第1期生の長谷川俊介君(遺贈寄付サポートセンター第一回の活動報告書でも紹介:https://izo-kifu.jp/about/data/pdf/2017.pdf)は、この春念願かなって教員採用となりましたことも、うれしいニュースとしてお伝えいたします。
※「社会的養護」とは:日本には、何らかの事情で産みの親の家庭で育つことのできない子どもたちが約4万5000人います(2019年3月現在)。事情は、親の死亡や病気、経済的な理由などによる育児困難、育児放棄、虐待などさまざまです。こうした子どもたちを公的責任において養育し、保護することを「社会的養護」と呼びます。
★「ある奨学生からのメッセージ」(この奨学生は、学校を優秀賞で卒業し看護師国家試験にも合格しました)。
施設を退所して、働いてたときは進学なんて夢のまた夢で、看護師なんて遠い世界でした。この奨学金をいただくまでは、いつ死んでもおかしくないような生活でした。でも、この奨学金があったから私は生き直すことができて、前を向いて歩いて、自分の人生をいま生きることができています。初めての経験ができて、初めて幸せを感じて、生きててよかったって心から思います。
(学校で)優秀賞をいただけたのも、学費だけでなく、家賃や生活費のサポートをしていただいて学業に集中して取り組めたお陰です。それに、なんでも話せて、共にがんばりあえる奨学生の仲間とサポートしてくれる財団の職員の皆さんがいたからです。お金だけじゃここまで来れなかったと思います。それぞれ違う目標だけど、切磋琢磨しあえる仲間の存在にどれだけ救われたかわかりません。
また見ず知らずの人が私たちのために、大切なお金を寄付してくださっている、ということにどれだけ勇気をいただいて、それが頑張る励みになったことか、人の温かさをこんなにも感じることができるなんて思っていませんでした。
本当に感謝しかありません。いろんなことがあったけれど、夢を叶えるサポートをしてくださったこと心から感謝しています。本当にありがとうございました。