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老後日本経済新聞 編集委員 兼 論説委員 山本由里 「NISA、もう始めましたか?」
昨年10月のこのコラムで「話題のNISA、始めてみましょう」と書きました。2024年1月からの新しいNISA(少額投資非課税制度)の発足を前に、当時はまだ「ニーサって最近よく聞くけど……」「なんかお得らしい」という程度の認識が主流でした。なんと言っても、そのころ既にNISA口座を開設済みだったのは日本の成人の5人に1人程度だったので。
そして新制度スタート。今年に入ってからのロケットスタートには目を見張るものがあります。金融庁による正式な口座開設状況の発表はまだですが、日本経済新聞の調べでは、主要証券会社10社のNISA口座数は2月末に計約1400万口座と前年同期の3倍近いハイペースで口座が増えています。
口座を開いただけでなく、実際にお金も流れ始めています。1〜2月は3兆2000億円もの巨額がNISA経由で投資信託・個別株に流れ込みました。さすが2141兆円の個人金融資産の過半が預貯金に眠る国、ニッポン。今後の伸びしろを予感させます。
「新米NISA投資家」は何に投資を始めたのか、ごくザックリ大別してみましょう。勢いが目立つ若者投資家の間では外国株インデックスへの積み立て投資、シニア層では日本の高配当株が人気、と言えそうです。
特に目立つのが「オルカン」人気。これまた最近、「聞いたことはある」ではないでしょうか? オルカンとは、正式名称「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」。三菱UFJアセットマネジメントが運用する、代表的な全世界株式インデックス「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」に連動する投信の通称です。
専門用語が続くと分かりにくいですね。「世界の株式市場に丸ごと投資する」と単純化して覚えても大丈夫。当たらずとも遠からずです。銘柄選びで悩むより「エイヤッ」と投資を始める人の有力な受け皿になっているようです。世界47カ国の約2900社にまとめて投資するのと同じ効果が期待できます。
「何に投資して良いか分からない」「高値の今から投資して大丈夫?」――。逡巡するのも分かります。でも結局のところ、将来の値動きは誰にも分からないのです。一方で過去からの教えを道しるべにすることはできます。それが「長期・分散・積み立て」です。
対象を十分に分散して、期間を長くとって、少額ずつ定期的に投じるスタイルで投資することが、勝率アップの王道。全世界株に連動する投信に過去20年、積み立て投資した場合のリターンは平均で約7%、保守的に見積もった4%リターンなら勝率ほぼ9割に収まるというデータもあります。やがて「皆もすなる」日も訪れそうなNISA。まずは余裕資金の一部を振り向けてはいかがでしょう。
日本財団が提唱する、遺贈という名の選択
新NISAが始まり、NISAについて調べようとインターネット検索をして、こちらの去年10月のコラムにたどり着いたという方が数名いらっしゃいました。NISAに興味を持ち、実際に始められた方も多いことと思います。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、遺言書で財産を社会貢献のために使いたいと考える方のご相談をお受けしています。ホームページ、お電話でお気軽にお問い合わせください。