読み物
終活訪問看護師・ケアマネジャー 藤澤 一馬「リビング・ウィルは必ずしも正しいものではない」
「尊厳死」や「安楽死」など、以前に比べて死に対する考えが変わってきたことを感じます。死はタブー視され、言葉に出すことさえも怪訝な顔をされていました。自分の最期は自分で決める!という自己決定と、人生の終極地への関心が高まっているからなのです。
ただ、ここで1つ問題があります。自分の最期が近づいた時に、今のように意思を伝えられるでしょうか。意識がないことや言葉が出ないこと、気づいた時には自分の意図に沿わない治療がされていることも。リビング・ウィル(生前の意思)とは、不要な延命の拒否や安楽死、尊厳死の尊重を医療者に伝える事前指示書とされています。多くの医療機関でその意思は尊重し、沿うように取り組んでおります。
しかしリビング・ウィルは、記載した時点の想いが反映されており、時間と共に変化した想いを更新しなければなりません。また延命と言われる人工呼吸器や胃ろう、点滴栄養などは、救命処置としても選択されます。さらには延命と呼ばれる医療を受けることで、自身のやりたいことや大切な人と共に過ごすことができる側面もあります。書面では事細かに記載は難しいですし、解釈によって変わってしまうリスクもあるのです。
人生の終極地においては、リビング・ウィルとは別に親族へ医療の方針が確認されます。そこで信頼のおける親族や友人へ、リビング・ウィルと共に想いを伝え託すことが大切です。書面で自身の想いを伝え、信頼のおける人から補足や再確認をしていただくと、より詳細に最期の意思を実現することが可能になります。
現在の医療機関では、本人の意思は尊重されるものの、必ず親族等に医療の方針が確認されます。親族等がリビング・ウィルを知らなければ、本人の意思が伝えられる機会が失われてしまうこともあります。リビング・ウィルに合わせ、信頼する親族等へ伝達を依頼することも重要です。帰省の際に、お互いの想いや現況を確認しあってみてはいかがでしょうか。
日本財団が提唱する、遺贈という名の選択
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