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社会貢献日本経済新聞編集委員 山口 聡「『10万円』の使い道、子どもに考えてもらっては」
新型コロナウイルスの感染拡大で景気が悪化していることから、1人当たり10万円を支給する経済対策が始まっている。「特別定額給付金」だ。総務省によると6月17日時点で全体の半分強は給付が実行されたという。申請の際のトラブルが盛んに報道されたが、口座を見ると入金されていたとう人が増えているのは間違いないだろう。
このお金、各家庭でどう使われているのだろうか。すでにいくつかのアンケート調査結果が出ている。どの結果を見ても、目立つ使い道は「生活費」と「貯蓄」だ。このほかは調査によって異なるが、「旅行」や「耐久消費財」、「投資」など様々な使い道が並ぶ。ちなみに「寄付」はブランド総合研究所などの調査によると、全体の2.3%。日経新聞の読者モニター調査では10%弱だ。
給付金をどう使うかに決まりがあるわけではなく、他人がとやかく言う筋合いのものではないのだが、一つだけ気になることがある。それは使い道に一人ひとりそれぞれの意向が生かされているのかという点だ。1人10万円だから、子どものいる世帯には子どもの分の給付金も出る。まだ小さくてお金は親が管理するしかない場合も多いだろうが、中学生、高校生となっていくと「自分に使わせてほしい」といった声も出ているのではないだろうか。
「好きに使わせたら、ろくなことにはならない」との親御さんの声も聞こえてきそうではあるのだが、家計に余裕があるなら、ちょっと素敵な、格好よい使い方がある。子どもに調べさせたうえで寄付するのだ。
この社会にある課題や問題、そしてそれを解決しようと奮闘している人たちがいることを知ることは子どもたちにとって大きな学びとなる。その人たちを支援し、感謝されれば、とても貴重な成長の糧にもなるはずだ。
家庭内でそんなことを子どもに指導する暇もスキルもないと親御さんに言われそうだが、実は学校の授業でこのような取り組みが始まっている。「Learning by Giving」という米国で始まった寄付教育だ。米国の著名投資家、ウォーレン・バフェット氏がかかわる基金が学校での指導や資金提供に乗り出している。日本では日本ファンドレイジング協会がこの基金と連携して一部の高校などでプログラムを実施している。
日本ファンドレイジング協会では、この取り組みをさらに広げようと6月からクラウドファンディングによる資金(寄付)集めを始めた。1000万円を目標に寄付を集め、この資金で寄付教育プログラムを実施する学校を拡大し、子どもたちが決めた寄付先への寄付も実行していくという。
子どもがいる人もいない人も、寄付による社会貢献に関心があれば、その寄付を子どもたちに託してみるのも悪くはない。「もらった10万円、寄付したいのだが、どこに寄付していいのかわからない」というような人ならばなおのことだ。
日本財団が提唱する、遺贈という名の選択
困っている人がいたら、その人を「助けたい」と思うのは人として当然なことです。そのひとつひとつの思いが集まり、大きな社会課題の解決のための動きとなり、社会貢献活動となっていくのです。寄付も社会貢献活動の一つ、この機会に考えてみてはいかがでしょう。
日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、将来の社会課題の解決のために、遺言書で自分の財産を社会貢献のために使いたいという方のご相談をお受けしています。財産の遺し方を遺言書に記し、安心して余生を過ごしたいとお考えの方は、どうぞご相談ください。