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日本経済新聞編集委員 辻本 浩子2020年を「新たなつながり」の年に

2020年を「新たなつながり」の年に

 災害や疫病......。日本の社会は繰り返し、さまざまな困難に見舞われてきた。だがそれを乗り越えるなかでいつも、新しい希望が生まれ、社会のあり方も少しずつ変わってきた。
社会の変化の代表的なもの。その1つが、ボランティアの定着だろう。1995年、阪神・淡路大震災が起きた年は「ボランティア元年」とも呼ばれる。2011年の東日本大震災でも、多くのボランティアが東北など被災地に駆けつけた。

 では2020年は? 新型コロナウイルスの感染拡大が起きている今は、どうだろうか。
1995年や2011年のときは、被災地のエリアはある程度、限られていた。被災地にボランティアが入る、被災地はボランティアを受け入れる。そういう関係があった。それに対し今年は、日本中、世界中すべての人が困難の当事者だ。それでも間違いなく、ここに希望はある。「つながりの再構築」。そんな言葉が浮かんでくる。

 感染を防ぐためには、人と人の接触を減らすことが必要だ。多くの人が外出自粛を求められ、日常のさまざまな活動が制約された。人のつながりが最も失われやすい状況ではある。だからこそ、だろう。物理的な距離を超えてつながろうとする工夫が多く生まれているのだ。

 例えば、会食。パソコンやスマホのアプリを利用し、一緒に食事をする試みが広がっている。遠方の家族、知人、友人同士......。職場でのオンライン飲み会を後押しする企業も登場した。地域の交流の場もそうだ。自治体などが主催する体操やおしゃべりの会を、集まってやることはできない。その分、みんなでできる体操をネットで流すなどの対応をとる自治体もある。物理的には離れていても同じことをする。そこには一つの連帯感も生まれる。
物理的な接触の多い介護の分野では、デイサービス(通所介護)を中心に、多くの事業所が休業を余儀なくされた。スタッフが時間を限って自宅を訪問したり、電話やネットを使って状況を確認したり。ここでもつながりを保つための工夫が続いている。

 もちろん、これらは、長く一緒にいることの完全な代替とはならない。試行錯誤の途上でもある。ただ、単なる応急策として片付けてしまうとしたら、違うだろう。つながる手法のバリエーションが増えれば、今後、よりよいやり方を組み合わせやすくなるだろう。従来のやり方では参加しにくかった人にも、参加の道が開ける。もしまた非常事態が起きても、対応しやすくなる。つながりを多層化することで、暮らしを支えるネットはより厚くなるのだ。

 どんな不安な状況にあっても、つながりがあれば気持ちは軽くなる。「自分に何かできることはないか」。そう他者を思うことで、人はより強くもなれる。物理的な距離を、心理的な距離にしない。互いに思い合い、支え合える基盤をつくる。それには一定のコストと時間、なにより多くの知恵がいる。2020年を新たなつながりの年にするために、わたしたちにできることは多くあるはずだ。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

 新型コロナウィルス感染拡大を一つの災害、また社会課題の一つとして捉え、それへの対応として相互に助けあう支えあうことが求められています。社会の動きが大きく動いていることを感じます。今のうちにできることを共有し、また将来の備えについてもそれぞれが考えることも必要だと思います。
 日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、将来の社会課題の解決のために、遺言書で自分の財産を社会貢献のために使いたいという方のご相談をお受けしています。新型コロナウィルス感染防止のために家で過ごす時間が多い今こそ、財産の遺し方を遺言書に記し、安心して余生を過ごしたいとお考えの方は、どうぞご相談ください。

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