読み物

あんしんステージ法務・福祉事務所 代表 塩原 匡浩「自筆証書遺言書保管制度」は革命か?

「自筆証書遺言書保管制度」は革命か?

 ここ数日初夏を思わせるような陽気が続き、窓の外の木々の青葉に心が救われるように思います。テレビでは相変わらず連日コロナ禍報道が続いており、テレビから何となく遠ざかることも多くなりました。

 緊急事態宣言の実施期間が5月末まで延長されることが決まり、宣言解除後の日常生活再開は未だ見えて来ません。これをお読みのみなさまも忍耐自粛の日々が続いているかと存じますが、如何お過ごしでしょうか。

 さて今日は終活の中の「遺言」に関する、大きな出来事を実況いたします。「自筆証書遺言革命」とも言われる「法務局における自筆証書遺言書保管制度」の概要が、法務省ホームページにて公表されました。これは令和2年4月20日(月)法務局における遺言書の保管等に関する省令が公布されたことに伴って、ページを更新したものです(法務省民事局商事課)。詳細は下記法務省ホームページをご確認ください。

無題.png

※1.法務省ホームページ  〔2020年5月4日時点における掲載内容〕
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html?fbclid=IwAR3J2PFjOy3UsWxeaqKwspvfDQUs3Scrup9ofWQJv6lN88A79zCei0qipv8

 法務省ホームページの該当箇所はご覧の通りの画面となっており、「預けて安心!自筆証書遺言書保管制度」という大見出しの元に、お堅いイメージの法務省にしては、動物の絵を多用して親しみやすい雰囲気を演出しています。12のアイコンがあり、自分が欲しい情報のアイコンをクリックすると情報先の頁が開かれます。

 また現在公表されている内容に関してはピンク色、まだ公表されていない内容に関してはグレーに色分けされており、その進捗度合いがひと目でわかります。「この新制度を日本に遍く普及」させたいという法務省の意気込みが伝わってきます。前回のコラムと同様に、「むずかしいことをかんたんに」という時代の後押しがあるのかも知れません。

 この「法務局における自筆証書遺言書保管制度」の内容に関しては、いままでさまざまな有識者や法律家が憶測も含めて解説してきましたが、今回ようやくその全貌が把握できるようになったと感じています。民法の相続に関する条文は「相続法」と言われますが、2019年1月13日から四段階に分けて施行されて来ました。

 今回の「法務局における自筆証書遺言書保管制度」の施行は、第四段の最終段階となっています。これまでの民法改定プロセス経緯は、私のダイヤモンド・オンライン「遺言コラム」連載記事「新たな元号のもとで、新しい遺言制度が始まります!」(※2)でも触れていますので、そちらもご参考ください。

 今回のコラムでは、読者のみなさまが一番知りたいと思われる内容に限定して「速報」的にお伝えしてみたいと思います。ではさっそくその内容についてポイントを踏まえて見てゆきましょう。ざっと見渡した限りでは、申請は思っていたよりも簡単そうです。今回は「いつから?」「いくら?」「どこで?」という項目に絞って見てゆきます。これ以外の「法務局における自筆証書遺言書保管制度」の詳細等については、今後複数回に分けて解説していきたいと思います。

1.「いつから?」:開始スケジュールは?
①令和2年7月10日(金)から法務局において自筆証書遺言書を保管する制度が開始。
②令和2年7月1日(水)から予約を開始する予定。

2.「いくら?」:自筆証書遺言書保管制度の手数料は?
①遺言書の保管の申請は、1件につき3900円(対象:遺言者)。
②遺言書の閲覧の請求(モニター)は、1回につき1400円(対象:遺言者、関係相続人等)。
③遺言書の閲覧の請求(原本)は、1回につき1700円(対象:遺言者、関係相続人等)。
④遺言書情報証明書の交付請求は、1通につき1400円(対象:関係相続人等)。
⑤遺言書保管事実証明書の交付請求は、1通につき800円(対象:関係相続人等)。
⑥申請書等、撤回書等の閲覧の請求は、1回の申請書または1回の撤回書につき1700円
(対象:遺言者、関係相続人等)。

3.「どこで?」:あなたが保管申請手続きできる法務局は?
①遺言者の住所地(住民票のある)の法務局
②遺言者の本籍地(戸籍のある)の法務局
③遺言者が所有する不動産の所在地の法務局

 今回のまとめとして、なぜ私が「自筆証書遺言書保管制度」は革命か?と言うのか、その意図をご説明いたしましょう。「遺言革命」とは、既存の遺言制度及び遺言の価値感が変革されることを意味します。いままで自筆証書遺言が、一般的に行われてきたいわゆる「タンス遺言」は、遺言者(遺言を書く人)の満足度が優先されたものでした。「たしかお父さん遺言書いたと言っていたんだけどなぁ、結局見つからなかったね」そんな悲劇もよく聞かれました。それが「遺言は相手方のない単独行為である」と言われる所以のひとつです。「それじゃいかん。もっと残される家族の事も考えて、財産だけでなく想いや生き様も書けるようにして、確実に伝わる有意義なものにしようよ」と法務省、いや日本国がそこにメスを入れて来たのです。だから法務局であなたの遺言を、公証役場よりも低価格でデータ化して預かるという新制度へとつながったと考えるのが自然です。つまり今まであまりにもイメージが悪かった「遺言」のあり方・やり方を変えることによって心理的ハードルを下げ、我々日本人の誰も(民法961条では15歳以上)が簡単にできる、「遺言の習慣を日本に根付かせたい」という前向きな意図を見出すことが出来るのではないかと思うのです。
                                     
※2.ダイヤモンド・オンライン「遺言コラム」「新たな元号のもとで新しい遺言制度が始まります!」
https://diamond.jp/articles/-/187237

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

自筆証書遺言書を法務局で保管する準備が粛々と進められているようです。ご自身の気持ちを遺言書として遺しておくことは、あなた自身のためでもあり遺される家族のためでもあるのです。そして遺言書であなたの「思い」を未来に繋ぐこと、それが遺贈です。日本財団遺贈寄付サポートセンターは、遺言書であなたの財産を未来の社会貢献に活用したい、遺贈をしたいと考える方のご相談をお受けしています。お問い合わせ、資料請求はHPからどうぞ。

遺贈について詳しく知る

未来への贈り物、遺贈未来への贈り物、遺贈
受付時間 9:00-17:00 0120-331-531
  • 資料請求
  • お問合せ