読み物

日本経済新聞編集委員 辻本 浩子「曲がり角の介護保険制度」

「曲がり角の介護保険制度」

 今年は2000年に介護保険制度がスタートしてから20年、という節目の年だ。年金や医療保険に比べると歴史は浅いが、今や高齢期の暮らしになくてはならないものになっている。介護保険ができるまで、介護は家庭にとじ込められていた。「介護嫁表彰」をする地域まであった。だが、介護はときに長期間に及ぶ。ライフスタイルが多様化し、身近に介護する人がいないケースも増えていた。介護を社会で支える。介護保険は時代の必然だった。

 そんな制度がいま、曲がり角に立っている。

 まずは財政的な面だ。介護の総費用は10兆円を超え、00年度の3倍以上に膨らんだ。40歳以上の人が払う保険料も、年を追うごとに高くなっている。さらに担い手不足が重なっている。高齢者のための施設はあるのに、スタッフが足りないため新規に受け入れられないことも多い。このままでは制度を維持することが難しくなる。

 介護保険は3年に1度、制度を見直している。次回、21年度から実施される見直し案を検討してきた厚生労働省の審議会は、19年12月、意見書をまとめた。だが内容は、小幅なものとなった。利用者の負担増につながる議論は多くが先送りにされた。サービスを効率化する策も乏しい。介護保険の先行きに不安が残る内容だ。

 介護保険は、だれにとっても必要なものだ。サービスだけ増やす「打ち出の小づち」はない。少子化で若い世代が年々減るなか、改めて社会全体で支える、という原点を確認したい。サービス利用時の自己負担は原則1割(一定以上の所得の人のみ2・3割)だ。将来的には、2・3割の人を増やしていくことが避けられないだろう。無理のない範囲を丁寧に探りたい。担い手についても同様だ。介護サービスの中心となるのは、もちろんプロの専門家だ。一方で、地域の住民の力によって高齢者の生活を支えられる部分もあるはずだ。

 みんなで少しずつ負担を分かち合い、みんなで支え合う。世代間、世代内で、納得できるバランスを探る。次の次、24年度の見直しに向け、だれもが当事者になって考える時期が来ている。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

介護保険の見直しについての議論は尽きないところです。保険料を払う世代にとっても、介護保険を利用する高齢者にとっても、関心は高いものです。超高齢化社会を迎える日本において、自分の老後のみならず社会全体で介護問題を考え、改めて社会の中で高齢化の対策を練り介護を考えていく必要があるでしょう。その考え方に立つとき、自分の財産を未来の社会のために遺したいと思われている方がいましたら、「遺贈」という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
遺贈は、遺言書で社会貢献活動を行う団体などに自分の財産を遺すことです。財産の遺し方を遺言書に記し、安心して最期を迎える準備をしたいものです。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、「遺贈寄付」にまつわるご相談をお受けしています。

遺贈について詳しく知る

未来への贈り物、遺贈未来への贈り物、遺贈
受付時間 9:00-17:00 0120-331-531
  • 資料請求
  • お問合せ