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日本経済新聞編集委員 山口 聡「いずれ来るときのこと、もっと話そう、もっと聞こう」

「いずれ来るときのこと、もっと話そう、もっと聞こう」

 昨年、妹が亡くなった。乳がんだった。独身だったので、葬儀やいろいろな手続きなどは私が担うことになった。亡くなったことを知らせてほしい人、各種書類の保管場所、とても簡素な葬儀の形などもろもろリスト化し、用意してあったので、私は途方に暮れることもなく、万事、無事に終わらせることができた。身内ながら立派な人生のしまい方だったと言えるのかもしれない。

 

 そんな中、一つだけ、私が扱いを考えないといけないものがあった。私を受取人とする保険金があったのだ。私に残そうと思ったものではないことは明かだ。自分のための医療保険として契約した民間保険に死亡したときの保険金がついていたのだ。その受取人は兄にするしかなかったというのが実情だろう。大きな額ではないが、葬儀費用などを差し引いてもまだ残る。

 

 「どこかに寄付して役立ててもらうのはどうだろう」というのが考えた末の結論だった。ではどこに。こちらは割とすんなり決まった。妹は猫が好きだった。飼っていたこともあった。我が家も好きで、現に飼っている。そして過去の取材から猫の保護活動をしている団体を知っていた。2つの団体に事情を話して寄付した。とても喜んでもらえた。妹も喜んでくれているだろう。

 

 とはいえ、本人に直接聞いたわけではない。本人の意思を確認したわけではない。遺族が勝手にやったことだ。尋ねていたら、違う使い道を示したかもしれない。

 自分が築いてきた財産の一部を遺言などによる指示で死亡時に寄付することを「遺贈寄付」と言う。妹の場合はこの「遺贈寄付」には当たらないことになる。遺族が相続した財産から寄付したのだから、この場合は「相続寄付」と呼ぶのが正しいらしい。

 

 

いずれにしてももっと妹と話しておけばよかったと思う。残った財産の使い道に限らずいろいろなことを。元気だったらしたかったこと、家族に対する思い、楽しかったこと、悔しかったこと。がんだと聞いてから少し時間があったのだが、成人してからはあまり付き合いもなく、きちんと話し合ったことはなかった。

 

 

私は記者として、終末期医療をテーマとした記事なども書いてきた。人は突然の事故で亡くなることもある。年をとって認知症で自分の意思を伝えられなくなることもある。記事はいつも「万が一のとき、どうすればよいか、どうしてもらいたいか、常日ごろから機会をとらえて少しでも家族や身近な人と話し合っておきたい」といった締めくくり方だった。後悔の念を込め、改めて強くそう思う。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

生前整理をしていくことで、何を遺すか、何を手放すかが見えてきます。そしてこの「遺す」という行為には、自分の家族以外に遺すことも選択肢の一つに含まれます。
それが「遺贈」です。遺贈は、遺言書によって、社会貢献活動を行う非営利団体などに自分の財産を遺すことをいいます。例えば法定相続人がいないと遺産は国庫に帰属しますが、遺言書があれば自分の希望を実現できます。公益財団法人日本財団では、遺贈されたご寄付の全額を、間接経費を頂くことなく、社会貢献のために活用しています。

遺贈について詳しく知る

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