読み物

吉田修平法律事務所 弁護士 吉田 修平「遺言執行者とは」

「遺言執行者とは」

 遺言執行者という名称を聞いたことがあるであろうか。  

 遺言執行者とは、ごく簡単に言えば遺言の執行をする者であるが、遺言の執行とは、遺言内容を法的に実現させ完了させる手続のことである。したがって、遺言執行者とは、遺言者に代わり、遺言の内容実現に向け必要な一切の事務を執り行う者となる。

 具体的には、遺言執行者は、身分に関する遺言の執行として、遺言の内容が認知である場合(民法第781条2項)には戸籍の届出を行い(戸籍法第64条)、相続人の廃除の場合(民法第893条)には家庭裁判所に請求をし、更に戸籍の届出を行う(戸籍法第97条)。

  遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならないが(民法第1011条1項)、更に、財産に関する遺言の執行として、遺言の内容が特定物の遺贈である場合には、目的物の引渡しや登記手続等を行う。遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができる(民法第1012条2項)。

 なお、遺言執行者は、自然人である必要はなく、法人でも構わない。

 遺言者は遺言を執行するために、遺言により遺言執行者を指定し、又は指定を第三者に委託することができるほか、遺言執行者がないとき、又はなくなった時は、相続人等の利害関係人が申立てをして、家庭裁判所に選任してもらうこともできる(民法第1010条)。

 遺言執行者の権限につき、2019年の相続法改正で規定が新設され、「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と明確化し(民法第1012条1項)、「遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。」(民法第1015条)として、行為の効果が相続人に帰属することが明らかにされた。

 また、「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」とされた(民法第1013条1項)。

 更に、旧法の規定(やむを得ない事由がある場合に限られた限定的な復任権)が修正され、他の法定代理人と同様の復任権が認められた(民法第1016条)。  

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

遺贈寄付の遺言書を作成するためには、遺言執行者の指定が必要です。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、人生の最期に残る財産を社会貢献のために使いたいと考える方のご相談をお受けしています。遺言執行者の指定についてもご相談いただけます。ホームページ、お電話でお気軽にお問い合わせください。

遺贈について詳しく知る

未来への贈り物、遺贈未来への贈り物、遺贈
受付時間 9:00-17:00 0120-331-531
  • 資料請求
  • お問合せ