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日本経済新聞 編集委員 兼 論説委員 山本由里 「「オルカン」ってなんだ?」

「「オルカン」ってなんだ?」

 「オルカンってなに?」。お金に全く興味のない高齢の知り合いから唐突な質問を受けました。「鹿児島のお菓子みたいな名前よね」。彼女の真顔を見ながら感に堪えませんでした。投資ブームもここまできたか……。もちろん軽羹(かるかん)は無縁。マネー関連用語です。と言っても「ワリカン(割り勘)」も関係ありません笑。

 失礼しました。「オルカン」とはオール・カントリー、つまり全ての国。今年、新NISA(少額投資非課税制度)が始まって以来、すっかり市民権を得たある金融商品のニックネームです。あたかも世界の株式市場に丸ごと投資するかのような性格を持った投資信託――それがオルカンの正体です。

 正式名称を「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と言います。三菱UFJアセットマネジメントが運用しており、「オルカン」は同社の登録商標です。でも最近は他社の商品も含め「世界丸ごと投資」の代名詞のように使われてもいます。

 投資はしたいけど、どこから手をつけていいか分からない。取りあえず世界の株式市場全部に投資しておけば最大公約数の正解、というわけで特に若い人を中心に人気が広がっています。

 ニュースでよく聞く「日経平均株価」や「TOPIX」は日本株全体の動きを示す指数です。その世界版の指数が「MSCI ACWI」というもの。オルカンはこの指数に連動するよう運用します。指数に連動するということは市場の平均点並み。このタイプの投信を「インデックス型」と呼びます。逆に独自戦略を駆使して指数を上回る成績を目指す投信が「アクティブ型」ですね。

 オルカンの投資先は世界47カ国、2760銘柄に及びます。世界の時価総額上位85%をカバーする計算です。最も比率が高いのがマイクロソフトで、以下エヌビディア、アップルの順。当然ですが米国企業が上位を占めます。オルカンを1万円分買うということはマイクロソフトやアップルを約400円分買うのと同じ。なるほど。

  投資比率は時価総額に応じて変わるので、いわばマーケットの通信簿に応じてその時その時の成長株を自動的に買いに行きます。「上がる株」を見極めるのは投資の醍醐味ですが誰もができることではありません。例えばインドが成長を続けインド企業の時価総額が高まれば、オルカンを通じて自動的にインド企業に投資することになるわけで便利です。

 未来のことは分からない。でもしばらくは増え続ける人口の土台の上で経済活動が繰り広げられるのだから、世界経済は拡大し続けるでしょう。世界株指数ACWIは1987年の算出以来、これまでに約20倍になりました。年平均リターンで9%というのは最大公約数としては立派な成績です。はやりの「オルカン」お分かりいただけたでしょうか?

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