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日本経済新聞 編集委員 兼 マネー・エディター 山本由里 「話題のNISA、始めてみましょう」

「話題のNISA、始めてみましょう」

 皆さんは話題の「NISA(ニーサ)」始められましたか? 「最近よく聞くけど、まだ……」という方も多いでしょう。大丈夫。話題の割に口座数はまだ1941万程度(2023年6月末)。日本の成人人口、約1億人のうち5人に1人未満しかまだ口座開設をしていません。

 さらに「開設はしたけれど……」の人も、これまた多い。金融庁によると、NISA口座開設後、1円も投資していない口座は一般NISAで51%、つみたてNISAで28%にのぼるといいます(21年末)。

 改めましてNISAとは、Nippon Individual Savings Accountの頭文字をとって名付けられた少額投資非課税制度です。イギリスのISAをお手本に頭にNipponを付けました。14年に一般NISAが、18年につみたてNISAが始まり、来年からは新NISAとしてグッとバージョンアップすることから、最近盛り上がっているわけです。

 投資で得た利益(値上がり益、分配金、配当等)には通常、20.315%の税金がかかります。それが、この口座を利用している限り免除されるのです。100万円もうかったときに、丸々100万円使えるか、79万6850円しか使えないか――差は大きいですよね。

 しかも長期投資の場合、利息が元本に組み込まれ新たな利息を生む「複利効果」が働くので、その差はどんどん大きくなります。毎月5万円積み立てを30年間実行し、年利3%で回ったとしましょう。元本と運用益の合計は2913万円強になりますが、そのうち非課税による押し上げ効果は230万円弱にも上ります。

 しかし、これまではNISA口座で30年運用、はできませんでした。そもそもが時限的な制度だった上、つみたてNISAでも最長20年、一般NISAだと5年(ロールオーバーすれば最長10年)しか運用できなかったのです。

 これが来年大きく変わります。恒久的な制度に生まれ変わり、非課税期間が無期限になりました。18歳から利用できるので、今の若者の人生100年時代に鑑みれば、98歳まで80年運用(!)なんてこともあり得ない話ではありません。

 ただし生涯に与えられた非課税枠は1800万円です。これは投資元本ベースなので「500万円投資したら1000万円になった」なんて場合でも500万円とカウントします。売却すれば枠に空きができるので、住宅購入の頭金や子どもの教育費として使いながら投資することが可能に。これも前のNISAにはなかった便利ポイントです。

 良いことずくめのNISAですが注意点もあります。税金とは利益にかかるもの。損をしたら無税なのは当たり前なので、非課税メリットは働きません。その上、他の口座と損益通算したり、損失繰り越しをしたりして税金を圧縮することもできません。利益ありき、の制度なのです。

 でも投資に元本保証はありません。株や投資信託の価格は上がる時もあれば下がる時もある。その特性を十分理解して、自分でコントロールできるものをコントロールして臨みましょう。すなわち、投資額や投資期間です。無理のない額を20年程度の長期にわたって、投資先を分散して積み立て投資をすれば、元本割れの確率はほぼないことは過去のデータでみる限り立証されています(将来は保証の限りではありませんが)。

 新NISAのスタートは来年ですが、今年、旧制度のうちに口座開設しておけばそのまま新制度に移行されます。年始は何かと忙しい時期なので、今のうちからあしたにでも準備しておくのもいいでしょう。非課税口座は税務署の許可を得て1人1口座しか開けません。どの金融機関で口座を開くか。から、まず吟味を始めましょう。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

低金利時代にNISAを活用してお金に少しでも働いてもらう。必要なことかもしれませんね。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、ご自身の大切な財産を遺言書で社会貢献のために使いたいというお考えの方のご相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。


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