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CFP/1級FP技能士 佐々木 祐子「お互いの“意思表示”を大切に」

「お互いの“意思表示”を大切に」

 総務省統計局(2022年9月15日現在推計)によれば、我が国の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、29.1%、過去最高となりました。2010年に高齢者の割合が21%を超え、すでに超高齢化社会に突入してから10年余り、3人に1人が高齢者という超・超高齢化社会へと進んでいます。

 高齢者の増加に伴う社会課題の一つは、認知症患者に関わる様々な場面での対応策でしょう。 特に高齢者を現場で支える家族にとって、日々の負担は大きく、時にはぎくしゃくしてしまうこともあり得ます。 この『ぎくしゃく問題』、原因はコミュニケーションの取り方なのかも知れません。

 厚生労働省が平成30年6月付で公表している「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(※1)には、本人が自ら意思決定できるよう3つのプロセス(意思形成支援→意思表明支援→意思実現支援)に沿ってチームで支援するよう案内されています。 これは認知症患者の支援者(専門家含む)のためのガイドですが、健常な高齢者に対する配慮という面で一般にも参考になる内容となっています。 大切なポイントとしては、支援者(家族含む)が、自己の都合の良いように解釈して対処してしまわないよう十分な確認と配慮が必要ということ、また一方、複数人(チーム)で支援することで、支援者の負担を分散し、 結果として、高齢者と支援者間(お互い)が心身共に良好な状態で関わることにより『ぎくしゃく問題』を減らすことができるということでしょう。 家族が詐欺事件などに巻き込まれないために、コミュニケーションは頻繁にとっておきたいところです。  

 さて、最後に「任意後見制度」(※2)について少し触れたいと思います。 「任意後見制度」とは、本人が十分な判断能力が有る時に、あらかじめ、後見人になる人を決め、将来判断能力が不十分になった場合に、委任した事務(財産管理等)を後見人が本人に代わって行う制度です。 この制度は、ご本人と任意後見受任者(後見人になってもらう人)とで公正証書にて契約します。 任意後見受任者は、身近なご家族である場合が多いので無償契約とすることもできますが、後見が開始されると後見監督人への定期的な報告等の手間がかかりますので、任意後見受任者との話し合いで有償にすることもできます。報酬額を含めこの契約は、ご本人の意思に沿って手続きを進める委任契約となります。ご本人、受任者、双方において、あらかじめ、万が一の際(事理弁識能力を欠く状態になった時)の委任事項を承知しているという点で、安心感を得られます。
 制度についての詳しい資料は、法務省のホームページ(※2)でも掲載しています。(また、お近くの公証役場でも問い合わせの対応をしています。)参考情報としてご一読されてはいかがでしょうか。

 「意思表示」は、正しく意思決定するために誰にとっても大事なことです。 最近、ご家族で集まって話す機会はありましたでしょうか。お互いのことは大体承知していると思っていても意外な一面もあるものです。時事ニュースなどを題材にして、お互いの考え方や意見を率直に伝え合ってみてはいかがでしょうか。万が一、意思表示が困難な状況に陥った時、本人の思いを正しく把握する一助になることと思います。

※1:出典:「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(厚生労働省) (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212395.html)を加工して作成
※2:出典:「任意後見制度リーフレット」(法務省民事局) (https://www.moj.go.jp/MINJI/pdf/leaflet.pdf)を加工して作成

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