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日本経済新聞 編集委員 兼 マネー・エディター 山本由里 「6月は住民税を確認しよう」

「6月は住民税を確認しよう」

どんより梅雨空に色とりどりのあじさいが美しい6月です。6月といえばマネー歳時記でも重要なイベントがあります。「住民税決定通知書」の到来です。これ、実は自治体によって形や表記もバラバラ。横長の細長いペラペラの紙でもらう人も多いでしょう。よく分からない専門用語と数字の羅列ですが、ここには今年6月から来年の5月にかけて支払う住民税の額が書いてあります。

個人が払う代表的な税は所得税と住民税。どちらかというと存在感の薄い住民税ですが実は超重要。所得税率は5〜45%の7段階ですが5%の人も多いので、一律10%の住民税の負担の方が重いケースも少なくありません。ちゃんと自分の税額を目視し、「今月から負担がこれだけ変わるということは使える額もこう変わる」とシミュレーションしましょう。家計の手取りの最後のピースが埋まるわけです。

普通、新年度は1月や4月に始まるのに、こと住民税の場合6月スタートなのがややこしいですよね。対象になる収入は所得税も住民税も同じ昨年2022年1年間の稼ぎです。ただ所得税は「先払い」で住民税は「後払い」。サラリーマンの場合、所得税は稼ぐそばから毎月会社が粗々の額を天引き(源泉徴収といいます)して、最後に年末調整で過不足をならす仕組み。住民税はそのデータが確定申告期間後に自治体に回り、ようやく6月から徴収が始まるわけです。

だから先月5月に払った住民税はおととしの稼ぎに対する税金。相当の時差があります。この時差はキャリアを通してつきまといます。新入社員の場合は「2年目の崖」。初任給以来、住民税なしの手取りに慣れてしまうと2年目の6月以降「あれ、お給料が減った!」と感じることに。そしてこのズレはおよそ40年の時を経て定年退職後に持ち越されます。退職して給与所得がないにもかかわらず結構な額の税金の請求がやって来る。人はその時「ああ、入社2年目のあの頃は……」と懐かしく思い起こすのでしょうか。

最近は人気のふるさと納税の答え合わせとしても使用価値があります。ふるさと納税とは住民税を原資にした寄付。地元自治体に支払う税金の一部をお目当ての自治体に回すことでもらえる返戻品(寄付金額の3割以内)が魅力の制度です。誤解もありますが、税金が減るという意味での「節税」にはなりません。むしろ自己負担分2000円は必ず持ち出しです。2000円以外の部分が住民税のやり取りで完結し、余分な出費が生じていないかを確認するのが、ふるさと納税の答え合わせ。摘要欄に「寄付金税額控除額」とあったらその額+2000円が寄付金額になればOKです(確定申告はしなかった場合)。ただ、中には摘要欄に書いてくれない自治体もあるので、その場合は「税額」の欄の「税額控除額」を確認します。いずれにしても分からないこと、不審な点があれば通知書に書いてある自治体の電話番号に掛けましょう。担当者は慣れているので丁寧に教えてくれるはずです。

住民税は地元の教育・福祉施設や道路の整備、ごみ処理などの行政サービスを行う大事な財源。自分がいくら払い、いくらふるさと納税で移動させたかきちんと認識しておきましょう。さあ、いよいよ今年も半ば。住民税の通知書を境に年の前半、後半に思いを致して過ごすのもいいのではないでしょうか。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

住民税の通知と共にこの半年間を振り返る期間を設けてみてはいかがでしょうか?日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、ご自身の大切な財産を遺言書で社会貢献のために使いたいというお考えの方のご相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。

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