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地域社会日本経済新聞編集委員 宮内禎一「ペットは「所有物」から「家族」に 新サービスが続々登場」
犬や猫などのペットと人間の関係が大きく変化している。ペットは「所有物」でなく「家族」であるという考え方が日本でも広がり、人間と同じようなケアやサービスを求める傾向が今後さらに強まりそうだ。
一般社団法人ペットフード協会の2022年の推計では犬の飼育数は705万頭、猫は883万頭でいずれも前の年よりわずかに減っているが、合計すると同年の15歳未満の子ども人口1450万人を大きく上回る。犬、猫ともに平均寿命が延びており、22年は犬が14.76歳、猫が15.62歳。長生きして医療費もかかるため、生涯に必要な経費は犬が約250万円、猫が約130万円にまで増加している。
18年度の国土交通省のマンション総合調査ではペットを禁止している分譲マンションは40%に上るが、05年以降に完成したマンションに限るとわずか4%に低下し、もはや新築マンションではペット飼育可が当たり前になっている。
新型コロナウイルス禍で在宅勤務が増えてペットと過ごす時間も伸びており、様々な新しいサービスが登場している。
まずは最新の技術を活用してペットの健康を維持する「ペットテック」。重量センサーとカメラを内蔵したトイレや、首輪型のセンサーで食事、排泄の量や回数などを記録。人工知能(AI)が健康状態を判定し、オンラインで獣医師が相談に応じたりお薦めのペットフードを紹介したりする。センサーで心拍データを取得し、「リラックス」「ストレス」など犬の気持ちを見える化するウェアラブル端末もある。
ペットフードも「エサ」から「食事」へ。肉や野菜など新鮮な国産食材のみを使い、添加物も使わない急速冷凍した「総合栄養食」を宅配するサービスが人気を呼んでいる。適正カロリーや最適メニューを表示する「フード診断」サービスもある。ペットと一緒に旅行する「ペットケーション」も需要が拡大中。栃木県の那須や静岡県の伊豆半島、長野県の軽井沢などはペットとともに旅行しやすい地域として有名になっている。航空会社のスターフライヤーや海運会社のフェリーさんふらわあなどはペット同伴サービスを始めている。
医療費などが膨らむ中で、ペット保険の需要も増加し、第一生命ホールディングスが3月にペット保険大手のアイペットHDを買収するなど新規参入もある。人間の生命保険市場が縮小しているが、ペット保険市場は22年3月末で約1068億円。3年前より約5割増と右肩上がりだ。
しかしペットが立ち入れる場所が増える一方で、動物アレルギーや動物が嫌いな人もいる。公園や道路で犬の排泄の後始末をしないケースも後を絶たない。ヨーロッパでは子犬のしつけが当たり前で飼い主のマナーもしっかりしているが、日本も飼い主を含めた何らかのマナー向上策を考えないと、トラブル増加につながりかねない。
日本財団が提唱する、遺贈という名の選択
大切な家族の一員であるペットと一緒に暮らせる、ペット飼育可の新築マンションも当たり前の時代になってきたようです。
日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、亡くなった時の財産を社会貢献活動に役立てたいというお気持ちを叶えるためのご相談をお受けしております。ご相談は無料です。 お気軽にご相談ください。