読み物
終活日本経済新聞編集委員 宮内禎一「高齢者の余暇活動 メタバースはいかが?」
高齢になっても心身の健康を保つには、どのような余暇活動を楽しむかがとても重要になってくる。公益財団法人日本生産性本部の余暇創研が毎年刊行している「レジャー白書」の2022年版では、80代の高齢者の余暇活動についてインターネットを通じた特別調査を掲載している。
それによると、80~89歳の余暇活動(複数回答、小数点以下四捨五入)で一番多いのはウオーキングで
52%。次いで園芸・庭いじりの51%。この2項目は80代の半数以上が実施している。
以下、読書(42%)、器具を使わない体操(41%)、外食(31%)、ドライブ(28%)、国内観光旅行(同)の順だ。
男女別でみると、男性はウオーキングが1位(62%)で、園芸・庭いじり(54%)が2位。女性は1位が園芸・庭いじり(50%)で、2位がウオーキング(45%)と、違いが出る。
男性の参加率が女性の参加率より高いのはドライブ(35%)、日曜大工(28%)、写真の制作(27%)など。逆に女性の参加率が男性より高いのは器具を使わない体操(45%)、外食(34%)、国内観光旅行
(31%)。男性は一人でも楽しめる活動が多く、女性は友人らと楽しむ活動が多いように見受けられる。
年齢層でも違いがある。65~79歳と比較すると、80~89歳は器具を使わない体操、ピクニックやハイキング、ウインドーショッピングが参加率で上回っている。一方、65~79歳が参加率で上回るのは国内観光、
宝くじ、音楽鑑賞、動画鑑賞などだ。
世代の違いなのか、年齢に伴うものなのか判別は難しいが、80~89歳は意外に体を動かしている。「お金をかけずに体を動かす」のが80代の行動パターンなのかもしれない。
調査では80代の余暇活動の潜在需要も調べている。参加希望率から実際の参加率を引いたもので、「やりたいけれど、できていない」余暇行動といえる。1位は国内観光で44%、2位は海外旅行で22%。
高齢になると遠出が難しくなることを示しているようだが、これだけ潜在需要があるのなら、バリアフリーの交通機関や施設の整備など、80歳を超えても楽しめる環境を整えていくべきだろう。
仮想空間で現実と同様の体験ができる「メタバース」も今後有望な分野だ。高齢者にはハードルが高そうに見えても、何かきっかけがあれば入っていける。
例えば2025年に開かれる大阪・関西万博では現実と同じ会場やパビリオンを仮想空間で再現し、日本国内だけでなく、地球の裏側からも自らの分身(アバター)で参加できる仮想万博が計画されている。多言語同時通訳が実装されれば、様々な国からアバターで参加する人たちと交流もできるだろう。
高齢者の余暇活動はこれから大きく変わるかもしれない。まずちょっとした好奇心を持つことが、異世界への入り口につながっている。今後さらに年齢を重ねた時の余暇活動をどうするか。なるべく早めに考えておいた方が良さそうだ。
日本財団が提唱する、遺贈という名の選択
人生100年時代。長く健康でいるためにも余暇活動を充実させることはとても大切なことです。 日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、亡くなった時の財産を社会貢献活動に役立てたいというお気持ちを叶えるためのご相談をお受けしております。ご相談は無料です。 お気軽にご相談ください。