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日本経済新聞マネー報道グループ長 手塚 愛実「マイナンバーカード=保険証」は危険? 

「マイナンバーカード=保険証」は危険? 

 最近、マイナンバーカードに関するニュースを頻繁に目にします。きっかけは2024年秋を目処に現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体にした「マイナ保険証」に切り替えるという方針を政府が示したことです。現在の保険証を2年後には原則、廃止にするという少々強引にも見える方針が示されました。さらに2024年度末には運転免許証との一体化も計画されています。

 これについて国民からは多くの反対の声が上がりました。「保険証として使うということはカードを持ち歩かなくてはいけなくなり、落とすリスクがある」「マイナンバーカードの取得は任意のはずなのに、保険証と一体化するということは事実上の義務化ではないか」「マイナンバーから病歴などが筒抜けになってしまうのではないか」――などの声です。

 マイナンバーやマイナンバーカードを巡っては国民に多くの誤解が存在するのも事実ですが、その責任は政府の側にあります。例えば「マイナンバー(個人番号)のお知らせ」という政府のパンフレットには「提示を求めることができる者以外は、マイナンバーの提示を求めてはならない」「マイナンバーをみだりに他人に知らせないようにしましょう」という注意事項が記載されています。これを見ると、自分に付与された12ケタのマイナンバーは人に知られると非常に危険だ、仮に番号を知られると個人情報の漏洩につながると考えてしまうのは自然なことです。

 しかし実際は違います。仮に何らかの理由で自分のマイナンバーを他人に知られたとしても、ナンバーだけで悪用できません。個人の情報は必要なときだけ必要な情報をやりとりする「分散管理」がされているため、どこかのデータベースがハッキングされてすべての個人情報が悪意のある人の手に渡ってしまうという仕組みにはなっていません。そもそもマイナンバーとマイナンバーカードは別物。カードを落としたとしても、カードのICチップから個人の健康情報などを読み取ることはできません。

 この辺りの国民の不安に対して、政府は丁寧な説明を重ねつつ、個人的にはマイナンバーを活用するメリットをもっと積極的に広報してもいいのではないかと思います。わたしがマイナンバーと保険証が一体化する一番のメリットだと思うのは医療の無駄を省くことができる点です。「無駄を省く」というと、効率を重視するあまり、受けたい治療を受けられなくなるということか、というお叱りを受けそうですがわたしはそうは思いません。

 例えば薬です。普段、かかりつけ医から特定の薬を処方されていたとしても、何かの事情であるとき、かかりつけ医ではない医師を受診せざるを得ないこともあります。その際、普段処方されている薬の名前をその医師に伝えることはできますが、なぜ自分にその薬が処方されているのか、という医学的な背景情報は、医療の専門家ではない患者が伝えきれるとは限りません。 

 病院で診察を受けたときのカルテ、自治体や企業で行う健康診断、これまでの投薬の状況や予防接種の記録などはバラバラに管理しているよりも、一つの番号、マイナンバーに紐付けた方が、より質の高い医療につながるのではないでしょうか。もちろん、個人番号に紐付いた医療情報を提供するか否かは、わたしたち個人の側に委ねられます。正しい知識を元にメリットとデメリットを冷静に見つめ、議論していく必要があるのではないでしょうか。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

マイナンバーカードも含めて、一つの情報を鵜呑みにするのではなく、冷静に考えてご自身で方針を決めていくことが大切ではないでしょうか。 日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、ご自身の大切な財産を遺言書で社会貢献のために使いたいというお考えの方のご相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。

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