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日本経済新聞マネー報道グループ長 手塚 愛実「ペットも長寿化 信託の活用も一案」

「ペットも長寿化 信託の活用も一案」

 わが家には2匹の猫がいます。上の猫は14歳、下は10歳です。飼い始めたときは猫を育てた経験が一切なく、食事やトイレ、室内環境など試行錯誤しましたが、この歳まで2匹とも大きな病気をせず、元気に過ごしてくれていることをうれしく思っています。

 2020年初めに始まった新型コロナウイルス禍で、ペットを飼い始める人が増えているそうです。ペットフード協会(東京都千代田区)によると、2021年の犬の飼育頭数(推計)は約710万頭、猫は約894万頭。コロナ禍前の2019年に比べて2020年、2021年は新規飼育頭数が増えました。ペットが生活に潤いや癒しを与えている存在であるのは間違いありません。

 私自身これからも、自分が高齢になって病気などで飼育が難しくなるまで、生活の中になんらかのペットがいるという人生を送りたいと考えています。しかし、ここで気になるのが「終生飼養」です。2013年に改正動物愛護管理法が施行され、「動物の所有者の責務として、動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(終生飼養)」が法律に明記されました。

 室内飼いが浸透したことや、ペットフード、動物医療などの進化で犬や猫の寿命は伸びています。ペットフード協会の調べでは2021年、犬の寿命は平均14.65歳、猫は15.66歳と過去最長になったそうです。万が一、自分に何かあったらペットはどうなってしまうのか、たまに不安が頭をよぎります。

 子どもや近い親族に信頼して預けられる人がいるなら、遺言を書いてペットの世話を託し、その分の財産を残すというのが一つの選択肢になるでしょう。ただし、居住環境などによって動物を飼えない家庭もあるでしょうから、事前に十分に話し合い、許可を得ておくことが大切です。

 もし、世話をお願いできる家族がいなければ、ペットホームなどの業者を探して事前に契約を結んでおく「信託」の活用が選択肢になります。信託とは「自分の財産を信頼できる人に託し、大切な人や自分のために管理・運用してもらう制度」です。このケースでは「自分のため=ペットのため」ということになるでしょう。

 まず、ペットホームなどの業者と希望するペットの飼育状況などを明記した「飼育委託契約」を交わします。そして親族や知人、信託会社などにペットの飼育料を「信託財産」として託し、自分に何かあったときは信託財産から業者に飼育料を支払ってもらうような信託契約を結びます。

 最近では買い主が亡くなった後にきちんと飼育料を支払ったり、適切な飼育がされたりしているかを監督する「信託監督人」を付けるケースもあるといいます。監督人は弁護士や行政書士、NPO法人などが候補となり、報酬が必要なのが一般的です。

 信託の仕組みをつくる際にも法律の専門家のアドバイスを受ける必要がありますし、自分で世話ができなくなった後、ペットが何歳まで生きるかもわからないため、費用は多めに信託しておく方が安心です。非常に手間もお金もかかるわけですが、一緒に暮らすペットは家族同然です。高齢になってもペットと一緒に暮らしたいと考えている方は、信託の仕組みを知っておくと安心かもしれません。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

「信託」の仕組みを活用することで、お亡くなりになった後に、大切な家族の生活を支えることができるかもしれません。 そういった終活の一環に遺言書の準備があります。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、遺言書で自分の財産を社会貢献のために使いたいという方のご相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。

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