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終活CFP/1級FP技能士 佐々木 祐子「遺言は結言」
日本FP協会の調査結果(※1)によると、『老後』を心配し始める時期は、40代が最も多く、子どもを持つ層はやや年代が高くなります。
『老後』における最大の心配事は、生活費であり、年金であり、不足する分について果たして準備が間に合うかどうかが焦点で、その他の問題が入る余地は無いようです。
ところが50代になると、少し変化が出てきます。親世代の介護問題を契機に、にわかに『相続』がじわりと現実味を増してくるのです。
親世代が介護を必要とする段階に入ったとき、自宅介護か施設入所かの問題とともに親世代の財産管理問題は避けられません。戸惑いは、子世代だけでなく親世代にも同じようにあり、「これから先の事」はお互いに心配の種となります。
そこで、心に留めておきたいキーワードは、「不動産」です。
国税庁の調査結果(※2)によれば、相続税の申告者の取得財産価額を種類別にみると、不動産の占める割合は、約41パーセントです。 不可分財産である不動産の相続は、遺言書が無い場合、複数の相続人による分割協議において、相続人の主張が折り合わず、難航が予想されます。
不動産の売却は、立地条件、地目(山林、農地、雑地など宅地以外)により、時間がかかることも承知しておく必要があります。
また、国の動きにも注目です。所有者不明土地の解消に向け、相続登記の義務化を含む民法・不動産登記法の改正、新たに相続土地国庫帰属法が制定され、令和5年4月より順次施行される予定となっています。
まずは、親世帯の考え(ご意思)にじっくり耳を傾けて、「これから先の事」をご一緒に検討してみてはいかがでしょうか。『遺言書』は重いテーマですが、次世帯へ「思い」を結ぶ「結言」と考えて、前向きに温かい気持ちを持って臨んでいただければと思います。
※1 出典:「生活者のライフプラン等における意識調査(日本FP協会)、「働き盛り30代・40代のライフプランニング意識調査(平成22年1月実施)」
※2 出典:「令和2年度 統計年報」(令和4年6月22日)」(国税庁)(当該ページのURL)を加工して作成
日本財団が提唱する、遺贈という名の選択
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