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何からすればいいか行き詰まっている方へエンディングノートで見えてくる終活の形

エンディングノートで見えてくる終活の形

終活といっても何からすればいいか分からないと行き詰まっている方に、最初に取り組んでほしいのがエンディングノートです。自分に関する情報や家族への思いを書くことで、人生の振り返りができます。遺言書とは異なり書き方は自由で、いつ書き始めても構いません。書くべき内容や注意点はこの記事を参考にしてください。

終活の初めにエンディングノートを書く理由

終活では人生の終盤、自分の周辺を上手に整理していくことが求められます。そのためには自分に関すること、葬儀や死後の手続きに必要な情報などを分かりやすくまとめておく必要があります。エンディングノートはそのために有効な手段となります。
そもそもエンディングノートとは、過去を振り返り、自分の考えやさまざまな情報を家族が困らないように記しておくためのものです。
自分の人生や普段の生活を振り返り、さまざまな記録を文字にしていくことは、雑多な情報や感情をきれいに整理していくことにつながります。自分自身を見つめ直し、この先の人生をどうのように生きていきたいかを考える糸口にもなることから、終活を始めるに当たって最初に取り組むと良いでしょう。

エンディングノートを残す意味

エンディングノートを残すことで、家族には大きなメリットが生まれます。それは多くの法的手続きや決めごとに対して悩まなくて済むことです。
人が死ぬと葬儀や埋葬はもちろん、口座の解約や遺産相続など非常に多くの手間が生じます。そこで必要な情報が手元にないと、遺族は困ってしまいます。いちいち確認していくのには、大きな手間がかかります。
また、機能的な情報だけがその価値ではありません。直接は伝えることが難しかった家族に対する素直な思いや、感謝の気持ち、自分の死後にどう生きてほしいかなどのメッセージが書かれていたら、家族にとって大切な形見の品になるでしょう。残された人にとって役に立つこと、思い出になることが、エンディングノートを残す重要な意味です。

遺言書との違いは?

よく似たものに「遺言書」があり、ともに自分の財産に関する情報が書かれています。しかし、この二つには大きな違いがあります。それは、法的な効力があるかないかです。
遺言書は自分の財産を誰にどのように分配するかを明記し、そこに法的な効力が生じます。そのため、公正証書遺言であれば、公証人のもとで作成し、さらに別の証人が立ち会うことが求められます。また、自分で作成する場合でも、自筆で書くこと、押印をすること、日付を入れることなど書き方についての規則が明確に定められ気をつける点が多いです。一方、エンディングノートは、法的効力はない代わり、何をどのように書いても自由です。むしろ法的な部分は遺言書に譲って、それ以外の部分を担うものといえるでしょう。
また、遺言書は財産の分配が目的になるため、財産というべきものが特になかったり、生前贈与が済んでいたりする方にとっては、あえて書く必要性もないことがあります。エンディングノートは自分の死や老後に対する備えですから、誰にでも書くべき価値があります。今までの人生を振り返ることでこれからの人生計画を練ったり、さらなる成長につなげたりすることができるのです。

エンディングノートを書き始めるタイミングは?

いつ書き始めても良いものですが、いつでも良いとなると、逆に書くキッカケがなくなってしまう面もあります。そこで、書き始めるタイミングの候補をいくつかご紹介しますので参考にしてください。

自分の誕生日に書く

年を重ねるにつれて感動が薄まり、ただ過ぎていく、そんな存在にもなるのが誕生日です。そんな誕生日を漫然と過ごさず、エンディングノートを書くキッカケにしてはいかがでしょうか。例えば、50歳ちょうど、60歳ちょうどなどの節目に思い立っても良いでしょう。
ノートに書かれた内容は定期的な見直しをするとよいでしょう。誕生日を「エンディングノートの日」と決めれば、毎年中身を見返すことも簡単です。一年を無事に過ごせたことに感謝しつつ、最新の情報に更新していきましょう。

お正月に書く

誕生日と同じく毎年定期的にやってくるのがお正月。このお正月もエンディングノートを書くにふさわしい日です。日常生活は何かと忙しいもの。お正月の静かな雰囲気の中、ゆっくりページを開いてみてください。
何より「一年の計は元旦にあり」。心機一転、新しい気持ちで自分と向き合うのには最適なタイミングです。昨年から今年にかけての変化を確認するとともに、新しいことへの挑戦など新年の抱負を追記することで、自分に対しての励みにもなるでしょう。

思い立ったときに書き出してみましょう

エンディングノートを書き始めるのは、特別なタイミングでなくても構いません。書くのに決まった年齢はないのです。しかし現実的には、事故や大病など、いつ不測の事態が起こるかは分かりません。誰もが、ある日突然アクシデントに巻き込まれる可能性を持っています。そのため、思い立ったそのときが書き出すときともいえるでしょう。

エンディングノートに書くべき内容

書き方自体は自由ですが、書くべき内容については一定の要素が決まっています。既製のエンディングノートならば最初から項目として入っていますが、自分で作る場合はできるだけ漏れのないように知っておく必要があります。また、既製品も出版社などによって多少の違いがありますが参考としてご覧ください。以下で項目ごとに必要な内容や記載例などをご紹介していきます。

自分に関する情報

あらためて、自分に関する個人情報を記録します。自分の趣味や好みなどを書いておくことで、ノートが思い出の品になるでしょう。

記載例
・名前
・生年月日
・住所
・本籍地
・血液型
・趣味
・特技
・好きな食べ物

契約情報

身の回りのさまざまな契約に関する情報です。解約や名義変更のために必要となります。それぞれ、契約先と名義人、ID、パスワード、支払い方法や契約書の在りかなどを明記します。

記載例
・スマートフォンや携帯電話
・インターネット(プロバイダ、メールアドレス、SNSなど)
・電気、ガス、水道、家賃
・ケーブルTVや衛星放送
・定期購読している新聞や雑誌
・会員組織や親睦団体など(年会費などが発生するもの)

口座や財産に関する情報

金融機関や保険、不動産、有価証券など財産に関する情報もこのタイミングで整理し、記録しておきましょう。遺産相続は発生した時点の財産にかかってくるので、ここで細かい資産価値まで明記しておく必要はありません。ただし、ローンや借金がある場合はトラブルを避けるために、現時点での残債額を書いておくと良いでしょう。

記載例
・金融機関(銀行名、支店名、口座の種類、口座番号、名義、カード・通帳・印鑑の保管場所)
・クレジットカード(名称、番号、引き落とし情報、連絡先)
・保険(保険の名称と内容、保険会社と連絡先、証券番号と保管場所、契約者名と受取人)
・年金(基礎年金番号、企業年金や個人年金など年金の種類と支給額、受取口座)
・所有している財産(不動産、貴金属、骨董品、有価証券など)
・貸金庫やトランクルーム(所在情報や連絡先)
・電子マネーやポイントカード(種類やカードの所在など)
・貸しているお金(相手の名前と連絡先、金額や書類など)
・借りているお金(借入先の名前と返済方法、残額、担保など)

医療について

普段から常用している薬や持病など、本人にしかわからない情報があります。また、急に倒れて搬送されたり、認知症が進行したりしてしまった場合には、自分から家族にきちんと説明できない状況も考えられます。そのため医療に関する情報を元気なうちに書き留めておく必要があります。

記載例
・持病やけが(病名と病歴、入院歴など)
・かかりつけの病院や医師名、連絡先
・常用薬(種類と用量・用法)
・アレルギー(食品名など)
・延命治療(希望するかしないか)
・臓器提供や献体登録(するかしないか、意思表示のカードの所在など)

なお、延命治療については自分に意識がない中、家族に厳しい判断を求める場合も少なくありません。ノートに書いておくだけではなく、元気なうちに膝を交えて話し合いをしておく方が良いでしょう。

介護や施設、認知症への対応について

もしも介護が必要になってしまったときの対応などについても、戸惑わないように事前に家族と話し合いをして、ノートに記録しておくことをおすすめします。

記載例
・誰に介護内容の方針の決定を任せるか
・自分が認知症になったときの対応(どの時点で施設に入るかなど)
・希望する介護施設(条件の希望や、意中の施設があればその情報など)
・施設の利用料の支払い方
・その他、介護をお願いする可能性のある人に伝えておきたいこと

葬儀や納骨、参列者などについて

葬儀は自分で行うことはできません。自分の希望する内容をエンディングノートに書き記しておきましょう。

記載例
・葬儀の形式(一般葬、家族葬、一日葬など)
・喪主を任せたい人
・遺影の指定(あれば保管している場所、特になければ候補の写真の在りかなど)
・棺の中に一緒に納めてほしい物
・納骨先の寺や霊園(名称、場所、連絡先など)
・葬儀費用の支払いについて
・法事法要の希望など
・葬儀に呼んでほしい人(名前、連絡先、関係性など)

ペットの情報

近年、残されたペットに関する問題も増えています。大事なペットのためにも必要な情報を残しましょう。

記載例
・ペットの名前
・種類
・年齢(分かれば生年月日)
・普段与えていた餌や好きなもの
・かかりつけの病院や持病、与えていた薬など
・誰に面倒を見てもらいたいかや、引き取ってくれる人の情報
・加入しているペット保険
・その他、気を使ってほしいこと

エンディングノートのポイントや注意点

実際にエンディングノートを書くに当たっては、注意すべき点や書き方のポイントがいくつかあります。ほとんどの人にとって初めての経験になると思いますので、あらかじめ注意点を確認してみましょう。

書き方にルールはない

すでにご説明したように、エンディングノートには公的に決められた書き方やルールはありません。発想のおもむくまま、自分のセンスや価値観で作り上げても良いのです。例えば、手書きではなくパソコンを使っても結構です。写真やイラストをたくさん使ってグラフィカルに作れば、読んで楽しいものになるでしょう。定期的な見直しのたびに日記のように思いを追加していく方法もあれば、最初にキッチリ目次を作って、マニュアルのような体裁にしていく方法もあります。
そもそも必要な情報をしっかり入れ、定期的な見直しも飽きずに行うためには、自分が書きたいように書くのが一番の方法。自分らしい書き方で中身を埋めていきましょう。

書き終えたエンディングノートの保管の仕方

書き終わったエンディングノートは、その後の保管の仕方も大切です。さまざまな個人情報が入っていますから、無関係の人にのぞかれてしまっては大変です。同じ家族であっても、自分の思いなどを生前に知られることには抵抗を感じるかもしれません。したがって、人目につくような場所に置いたり、生活の中で簡単に見つかってしまう場所に入れたりしておくのは、あまりおすすめできません。
とはいえ、あまりに見つけにくい所に隠しておくと、誰にも気づかれず処分されてしまうリスクもあります。エンディングノートは必要なときに見てもらってこそ意味があるもの。これらを解決するには、家族の中でも信頼できる誰かを選び、ノートの在りかを教えておくことです。「自分に万一のことがあったら、ノートをここに入れてあるから、みんなで読んでください」と伝えましょう。

書いていることを伝えるのも一つの方法

勝手に見つかってしまうのを防ぐため、家族には内緒で書いておこうというのも一つの考え方です。しかし、エンディングノートを作るに当たり、あえて「今書いているところだ」「これから書こうと思っている」と伝えた方が良い場合もあります。
まず、自分に何かあったとき、書いていることを伝えてあれば「そういえば、エンディングノートに何か自分のことを書いているといっていたよね」と思い出してもらえる可能性があります。
次に、家族と一緒に相談しながら書けるということです。「こんなことを書いている」「他にどんなことが必要だと思う?」などと聞いてみましょう。実際にノートを読んで使うことになるのは家族です。どんな情報が役に立つのか、家族としてどんな情報が欲しいか、確認するとよいでしょう。

まとめ

エンディングノートには書くべき情報がたくさんあります。単に情報を埋めるだけではなく、家族へのメッセージとして気持ちを込めて書くようにしましょう。残された人に感謝を伝えるようなエンディングノートを作ってみてはいかがでしょうか。

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