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あんしんステージ法務・福祉事務所 代表 塩原 匡浩遺言の新しいカタチ「9マス遺言」とは?

遺言の新しいカタチ「9マス遺言」とは?

 7月に入り盛夏の候とも言われる季節の到来ですが、一連のコロナ禍の影響で心情的にはまるで少し遅い「啓蟄」を迎えているかのようです。啓は「ひらく」、蟄(ちつ)は「土の中で冬ごもりしている虫」の意味で、大地が暖まり冬眠していた虫が、春の訪れを感じて穴から出てくる季節の事です。長い間巣ごもりを続けていた我々が、新たな時代の到来を肌で感じて世の中の活動を再開し、ようやく平静を取り戻してきたが如しです。さて今回は、私が提唱する「9マス遺言」をご紹介したいと思います。「9マス遺言」は、「自筆証書遺言」の形式のひとつであり、簡単に脳内整理と人生の棚卸しが出来て法的効力のある究極の便利ツールです。

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1.いま大注目!遺言の新しいカタチが登場

 これまで終活や遺言に関して、様々な情報に接してこられたと思います。あなたは、遺言の新しいカタチ「9マス遺言」をご存じでしょうか。これは曼荼羅の原理を応用して、簡単に脳内整理と人生の棚卸しができる究極の便利ツールで、「自筆証書遺言」形式のひとつです。遺言の構造は法的効力のある「本文」と、法的効力のない「付言」で構成されています。「本文」は主に相続・財産処分・遺贈・権利関係等について記します。そして「付言」は今迄あまり積極的に活用されて来ませんでしたが、実は大切な人への想いや自らの生き様等を記すことが出来るのです。人間に例えると、「本文」が体で、「付言」が心であると私は考えます。もうお気付きの通り、「9マス遺言」は遺言の「本文」機能だけに特化しているものではありません。「付言」機能にこそ焦点を当てた形式なのです。「家族や大切な人に対して、財産のことだけでなく、自分の想いを載せた言葉まで遺せるような、日記感覚の遺言書があってもいいのではないか」そう思って、「9マス遺言」を考案しました。

2.曼荼羅はあなたの人生をビジュアル化し、シンプルにしてくれる最強フォーマット【コンセプト】

 なぜ密教の奥義のひとつである曼荼羅を、遺言に応用したのでしょうか?曼荼羅の解説でわかり易いのは、「密教の教えは絵で理解すること大切だ」と言う真言密教を日本に広めた弘法大師空海の言葉です。膨大な密教経典を覚える事は簡単には出来そうもありませんが、曼荼羅を目で見る事で、難解な密教の経典を理解したのと同じ効果があると空海は言うのです。「9マス遺言」の原型は、まさに金剛界曼荼羅の形にあやかったものなのです。我々の多くは日々の忙しさの中で自分の時間が持てないばかりか、そもそも自分自身とじっくりと向き合うこと自体をしていないのはないでしょうか?日々繰り返される複雑な出来事が、知らず知らずのうちに悩みとなり本来あなたが発揮できる力に、ブレーキをかけているのではないでしょうか。ふと思い立った時に「9マス遺言」を書いてみることで、その悩みが解消されると言ったらあなたはどう思いますか?「9マス遺言」には、必要以上に複雑化してしまったあなたの日常を曼荼羅のようにビジュアル化することで、「むずかしいことをかんたんに」してくれ、あなたの人生の現状と全体像が、極めてシンプルに把握出来る効果があるのです。それは今迄がんじがらめになっていた悩みの糸が自然とほぐれ、あるべき場所へと整理整頓されたからであると思うのです。

3.9マスの枠を埋めていたら、あっという間に遺言書が出来ていた!【メソッド】

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 いざ遺言を書こうと思った時、真っ白な紙と向き合ってもそう簡単に書けるものではありません。その心理的ハードルを下げることを目的に、「9マス遺言」では9マスを使って「枠があると埋めたくなる」という人間心理を活用したフォーマットとしています。これと同じ原理にクロスワードパズルや数独・ナンプレ等がありますが、みなさんも一度はやったことがあるのではないでしょうか。我を忘れて熱中し、トランス状態になることさえあります。私は今迄セミナーやワークショップを通じ、老若男女あらゆる年代の方々にこの9マス遺言を書くことを通じて、半強制的に自分自身と向き合って頂いてきました。多くの方の書き出しはゆっくりですが、一旦書き始めると止まらなくなります。中にはおもむろに涙を流す人もいます。そして書き終えると一様に、「ああスッキリした」「自分の人生の全体像がわかった」「生きる勇気が湧いてきた」と、感動の言葉を口にされるのです。それはその瞬間のあなたの人生に、夢中になって向き合った賜物なのだと思うのです。

4.遺言はあなたの人生のマイルストーンというツールに過ぎない

 「9マス遺言」は人生のマイルストーンに例えられます。マイルストーンとは、迷わずに正しい目的地に到達するための道標(みちしるべ)のことです。その意味で「9マス遺言」は、明日を生きるための道標であり、決して死んだ後のことを整理する為だけのものではないのです。ある意味将来の自分への手紙であり、死ぬ為にではなく生きる為に書く遺言なのです。「いつ書けば良いの?」とよく聞かれますが、思い立った時・お正月・毎年の誕生日と何度でも書き直しても良いのです。遺言することを高齢者や一部のお金持ちのものだと決めつけ、自分とは関係ないと思う必要はもうありません。遺言は本来身近な法律行為であり、我々の生活に役立つ便利ツールに過ぎないのです。生活の中のひとつの習慣として、法的効力がある「9マス遺言」を書いておく事で、不幸にも突然不慮の出来事があった場合でも自分の意思が後世に引き継がれ、大切な人に自分の想いを遺す事が出来ます。「9マス遺言」の効用を知れば、遺言に対する心理的ハードルや堅苦しいイメージが薄れてゆくことでしょう。

 遺言を書こうと取り組んでいたら、脳内整理と人生の棚卸しが簡単に出来ていた。まさに自分自身の現状分析ツール、そして自己肯定ツールとも成り得るのです。私はこの「9マス遺言」が本来持っているシンプル化機能とトランス機能を信じ、これからも多くの方々に広めてゆきたいと思うのです。次回は710日に「9マス遺言」で書いた遺言書を、法務局に保管した状況レポートをしてみたいと思います。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

 遺言書作成に取り組むとき、自分の人生を振り返り人生の棚卸しをします。ご自身の気持ちを遺言書に書き記すことは、あなた自身の頭の整理のためだけでなく、遺される家族のためにもなります。そして遺言書であなたの「思い」を未来に繋ぐことができます。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、遺言書であなたの財産を未来のために遺したい、遺贈をしたいと考える方のご相談をお受けしています。お問い合わせ、資料請求はHPのお問い合わせ欄からどうぞ。お待ちしております。

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