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日本経済新聞編集委員 辻本 浩子未来につなぐバトン

未来につなぐバトン

 「少子化」――。ふだん漠然と意識していることも、数字にすると、よりクリアになる。
35・4%から12%へ。総人口に占める子ども(15歳未満)の割合は、この70年でここまで低下した。35・4%だったのは、団塊の世代が生まれてすぐの1950年だ。2020年の12%は過去最低であり、75年から46年連続で低下している。そして今なお、少子化は止まっていない。ちなみに調査時点は微妙に異なるものの、米国では子どもの割合は18・6%、フランスは17・8%だ。

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 さらに問題なのは、この数少ない子どもたちが育っていく環境が厳しいことだ。厚生労働省が7月に公表した調査では、「子どもの貧困率」は13・5%だった。貧困率とは、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を示す。とりわけ母子家庭など大人1人で子どもを育てている家では、5割近かった。生まれ育った環境で子どもの現在、そして将来が左右されてしまう。この懸念は強い。

 子どもや子育てを支えるうえで、政府や自治体の役割は大きい。だが、財政状況は厳しく、機動的に対応できないところもある。行政だけでなく、地域、そして一人ひとりが力をかすことは有力だ。
子どもたちに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」。学校内外で勉強を教える活動、子どもを預かる活動......。各地で多くの取り組みが行われている。
支援は、なにも特別なことでなくてもいい。子育て家庭が孤立しないよう、あたたかく見守る。これも大事な支援だ。

 今、新型コロナウイルスの流行拡大という、逆風が吹いている。人のつながりが保ちにくく、気軽にあいさつも交わしにくい。さまざまな活動も、制約を受けている。経済活動の停滞は、若い世代、貧しい世帯の暮らしを直撃する。これから社会に出る学生の就職活動への影響も心配だ。将来への見通しがたちにくく、少子化が加速することも懸念される。

 自分のほんとうの孫ではないが、地域の孫――。以前、子育て支援をしているシニアから、そんな素敵な言葉を聞いたことがある。子どもがすくすくと育つ社会は、だれにとっても生きやすい社会だろう。もっと現実的なことをいえば、子ども・子育て支援は、社会保障制度を維持し、社会・経済を活性化するためのものでもある。

 世代を超えてエールを送る。未来をになう子どもたちにバトンをつなぐ。そのための方法は、まだまだ多くあるはずだ。

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

 あなたご自身がずっと大切にしてきたことは、何でしょうか。災害復興のボランティア活動に打ち込まれてきた方、身近にいる障害者を支えてきた方、または、介護を受けることで充実した毎日を送ることができた方、など、ご自身のこれまでの人生を振り返りますと、大切にしていたあなたの「思い」を確かめることができます。あなたの「思い」を書き記すことは、ご自身の生きた証を改めて見つめなおすことです。つまり、遺言書を書くことは、あなたの生きた証を未来に遺すことなのです。
 遺言書であなたの「思い」のつまった財産を、未来の社会貢献活動のために遺すことができます。それが遺贈です。日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、遺言書であなたの財産を未来のために遺したい、遺贈をしたいと考える方のご相談をお受けしています。お問い合わせ、資料請求はHPのお問い合わせ欄からどうぞ。お待ちしております。

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