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日本経済新聞編集委員 辻本 浩子「3割」が変える社会

「3割」が変える社会

 ダイバーシティの分野で、よく目にする数字がある。それが「3割」だ。
例えば政府は「管理職の女性比率を30%にする」という目標を掲げている。1、2割では足りない。3割になれば、変化が生じる、というものだ。
いいかえれば、3割の集団には現状を大きく変える力がある。3割は変革のキー、という発想だ。
 
 そしていま、日本社会に新たな「3割」が生まれつつある。日本における高齢者の割合だ。
総務省によると、9月15日時点の推計で、総人口に占める高齢者の割合は過去最高の28・7%になった。1950年の4・9%から一貫して上昇を続け、1985年に10%、2005年に20%を超えた。上昇は今後さらに続いていく。
 シニアには多くの知識や経験がある。そこにさらに、3割の力が加わるのだ。シニア層が、どう動くか。日本の社会に与える影響、インパクトは、これまで以上に大きくなる。

 今生じている動きの1つは、シニアの就労だ。すでに65歳以上の人の4人に1人が働いている。本人のやりがい、生活の糧になるのはもちろんだ。働くシニアの存在は、だれもが働きやすい職場づくり、という変革への後押しにもなっている。
 そしてもう1つ、高まりつつある動きがある。地域の支え合い活動などへの参画、いわば「共助」の部分だ。見守り活動や、子育て支援......。地域のシニアの存在は、若い世代の励みにもなっている。

 ただシニアの場合、人により状況が大きく異なる。それぞれの人にあった共助の選択肢が増えてこそ、参画のしやすさは増す。そのなかでは、寄付や遺贈も大きな選択肢だ。シニアの思いに応えるためにも、共助のさまざまな道筋を、政府も民間ももっと示す必要があろう。

 内閣府の1月の調査では、「なにか社会のために役に立ちたい」と思っている人は60代で65・6%いた。70歳以上でも53・8%と半数を超える。コロナを機に、共助の重要性はいや増している。
世界に目を転じると、高齢化率2位のイタリアでさえ、高齢化率は23・3%にすぎない。自分の人生をどう選び、どう駆け抜けるのか。3割のシニアの動きは、日本のあしたにつながる一歩になる。

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※「令和2年1月内閣府「社会意識に関する世論調査」から抜粋」

日本財団が提唱する、遺贈という名の選択

 日本の6割を超える方が「なにか社会のために役に立ちたい」と思っているという世論調査の結果が出ました。人は一人では生きてはいけないのですから、「共助」のための行動を起こしていくことが望まれます。その意識を持った方々の選択の受け皿を用意することが肝要です。
 日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、遺言書で自分の財産を社会貢献のために使いたいという方のご相談をお受けしています。ますます高齢化が進む世の中、ご自身のためだけではない「なにか社会のために役に立つ」財産の遺し方を遺言書に記し、豊かな気持ちで余生を過ごしたいとお考えの方は、どうぞご相談ください。

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