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日本経済新聞編集委員 山口 聡「公・民の格差縮まる介護施設、情報収集がより大切に」

「公・民の格差縮まる介護施設、情報収集がより大切に」

 2021年8月から特別養護老人ホームに入居する一部の人の自己負担額が引き上げられる。介護が必要な高齢者の生活の場となる施設は様々な種類があるが、特養ホームは公的な性格を持つ施設の代表格といってもいいだろう。一方、民間が運営する高齢者施設といえば、有料老人ホームだ。

 特養ホームの費用は安く、有料ホームの費用は高いというのがかつての常識だった。特養は身寄りのない低所得の高齢者を主な対象として始まったことを考えれば当然だろう。しかし特養ホームの費用は引き上げが続き、有料ホームの中には低料金を売りにする施設も登場している。費用面での格差は縮まっている。介護サービス面でもどちらがよいかは一概にはいえない。施設のハード面でももう見分けはつかない。入居施設を探すなら特養だ、有料だと区別せず、総合的に比較検討する姿勢も必要ではないだろうか。

 特養ホームの費用は、介護費の部分と住居費・食費の部分に分けることができる。介護費部分は介護保険が適用され、自己負担は原則1割で済む。これに対し、住居費・食費は全額自己負担が原則で、この負担が重くなる。このままでは低所得者が入居できないので、収入や資産の状況に応じて3段階で自己負担を軽減する制度(補足給付)が用意されている。第1段階に該当するのは生活保護受給者などで、自己負担はとても安い。負担は第2、第3段階と上がるにつれて重くなる。

 8月から負担が上がるのは第3段階に該当する人の一部だ。現在は年金などの収入が年80万円超で市民税非課税世帯の人などが該当していたが、これを80万円超~120万円以下(第3段階①)、120万円超(第3段階②)の2つに分け、第3段階②の人の負担は上がる。またこの軽減制度を受けるには、これまで預貯金などの資産が単身なら1000万円(夫婦なら2000万円)以下であることが条件だったが、これも大幅に引き下げて厳しくする。第3段階②の人なら単身で500万円(夫婦1500万円)以下が条件となる。

 こうなると、もう軽減制度は受けられず、全額自己負担になる人が珍しくはなくなるだろう。では、特養ホームに全額自己負担で入居するとどの程度の費用がかかるのだろうか。特養ホームには、いまだに大部屋に複数の人が入る病院のような施設が残っている。ここなら全額負担してもすべて合わせて月10万円未満の場合がある。

 個室ではどうだろうか。こちらも様々なタイプがあり、入居者の要介護度にもよるので、一概にはいえないが、「ユニット型個室」と呼ばれる最新タイプなら月13、14万円程度からというイメージだろうか。住居費や食費は施設によっても異なり、洗濯代や電気代の負担、医療費がかかる場合なども出てくるので、月20万円程度必要な場合もある。

 有料老人ホームの費用は入居一時金なども合わせると本当に様々だが、個室でも入居金不要で月々10万円台とうたうところも出てきた。こうなると特養ホームと変わらない。都市部の特養ホームは入居待ちが多いと言われるが、最近では意外に早く入居できることもあり、この面でも特養と有料の違いは減っている。費用以外のところもよくよく比較・検討してから入居を決めたい。

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