読み物
地域社会日本経済新聞編集委員 辻本浩子もしもの時の「188」
「ネットで自分で、は簡単で手軽。でも、そこで終わってしまうこともあるのでは」。
消費者トラブルについて前に取材をしていたとき、専門家が漏らしていた懸念の言葉だ。「契約に納得できない」「詐欺かも」。そんなときよくあるのが、ネットで検索したりアドバイスを募ったりすることだ。
もちろん、それで役立つこともあるだろう。ただ、応じている人は一般の匿名の人も多い。情報が不十分だったりして、専門家として歯がゆいこともあるという。
では、いざ専門家(自治体の消費生活センターなど)に相談した場合は?
トラブルの内容は千差万別、もちろんすべてが解決するわけではない。電話すること自体、ハードルが高く感じる人もいるだろう。ただ、解決への道筋がつくことも少なくない。同種の相談が相次げば、被害拡大を防ぐための行政の呼びかけにもつながる。最近の状況を知るきっかけにもなろう。
ただでさえ、悪質商法や詐欺などのグループは〝知恵者〟ぞろいだ。時代と世相にあわせた手口が次々に出てくる。2021年は新型コロナウイルスのワクチン接種に便乗し、「優先的に接種できる」「予約代行をする」などとお金や個人情報をだまし取ろうとする事案が相次いだ。今年は「成人年齢」の18歳への引き下げ(4月)を狙った被害が、懸念されている。
「終活」に付け込んだ事案も、高齢化のなか、残念ながら例外ではない。生前整理をしよう、不要な衣類を処分しよう。そんなさい、来訪した買い取り業者に貴金属を見せるよう強く求められ、無理やり買い取られてしまった、といったケースだ。
「子どもたちに負の財産を残したくない」という思いに付け込んで、かつての原野商法の被害者をまたもや狙う事案もある。
だからこそ、ひとりで悩まないこと、自分だけで抱え込まないことは大切だ。全国共通の番号188(消費者ホットライン)にかければ、身近な消費生活センターなどを案内してくれる。大事なことはプロに聞く。信頼できる相談先を知っておくことは大切だ。そしてこれは、消費者トラブルだけに限ったことではないはずだ。
状況は常にアップデートされていく。どこに相談したら、自分の助けになる最新の情報が得られるか。そのことを知っていること自体が、大きな力になる。だれに聞くか、聞こうと思うか。日ごろから網を広げておきたい。
日本財団が提唱する、遺贈という名の選択
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