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日本経済新聞社編集局編集委員 宮内禎一「長野に学ぶ健康長寿の秘訣」

「長野に学ぶ健康長寿の秘訣」

 国民健康保険中央会(東京)が2019年に算出した「日常生活動作が自立している期間」によると、長野県は男性が81.1年、女性が84.9年といずれも全国1位。同県は平均寿命も女性1位、男性は2位で、健康長寿県として知られる。

 要因はいくつも考えられる。例えば65歳以上の「有業率」が全国トップで年をとっても働く人が多いこと。野菜摂取量も同県は1日平均約140グラムと1位で、最下位の愛知県より40グラム多い(カゴメの18年調査)。味噌汁や漬物など塩分を過剰に取りがちな県民の食生活を改めようと、ボランティアの食生活改善推進員が家庭訪問して減塩アドバイスをしたり高校生に食育講座を開いたりしている。

 県内東部の佐久市は北陸新幹線で東京まで70分強と近いこともあり、健康意識が高い移住者が増えている。訪問医療や予防医療に熱心な総合病院が3つあり、人口当たりの医療関係者が多い。佐久総合病院が毎年開く「病院祭」には、住民1万人以上が訪れて医師や看護師と交流している。

 1945年から県内で広がった「保健補導員」は2年の任期中に保健師を補助して住民向け健康講座を開いたり検診の受診を呼びかけたりしながら保健の知識を蓄える制度。佐久市は地区住民に委嘱して2年ごとに約700人を選んでいる。これまでの経験者は約3万人にのぼり、蓄えた保健の知識が地域や家庭で生かされる。

 このようなきめ細かい取り組みを通じた保健意識の高さが長野県の健康長寿を支えている。

 ここで他地域でも家庭や個人で実践できる長野発の健康活動をいくつか紹介したい。まずは「サキベジ」。「食事の際に野菜から先に食べる」「1日7000歩を目指す」「人とコミュニケーションをとる」の3原則で生活習慣病を予防するものだ。

 次に「具だくさん味噌汁」。筆者も驚いたことがあるが、佐久市のホテルの味噌汁は具の野菜が多く、箸が立った。具が多いと汁が少なくなり塩分抑制にもつながる。

 運動ではスキーのストックのようなポールを持って歩く「ポールウオーキング」。上半身もしっかり運動できる。佐久市周辺ではスキーのストックメーカー3社がポールを生産している。

 同市には「ぴんころ地蔵」という名のお地蔵さんがある。「健康で長生きし(ぴんぴん)、寝込まず楽に大往生する(ころり)」ことを願って建立され、県内外から参拝者を集めている。お地蔵さんの柔和な顔を眺め、おいしい空気を吸うだけで寿命が延びるような気がする。心の持ち方と豊かな自然が健康長寿に重要なのは言うまでもない。

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