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社会貢献日本経済新聞編集委員 山口 聡「好きな人、尊敬する人の社会貢献を参考にする」
昨年、生活困窮者を支援する認定NPO法人、抱樸(ほうぼく、北九州市)がコロナ禍での緊急支援金を募ったところ、わずか3カ月で1万人以上の人から1億円超が集まり、一部で話題となった。成功のカギはインターネットの活用だ。
まず寄付集めに使ったのは、ネット上で寄付を募るクラウドファンディングの仕組みだ。READYFORという会社が運営するネット上のサイトで呼びかけた。ただ、READYFORのサイトを見ると、多くの様々な社会的に意義がありそうなプロジェクトが資金集めへの協力を呼びかけている。このサイトで告知しただけで簡単に支援が集まるわけではない。
ここでもう一段のネット活用が重要になる。ツイッター(Twitter)やフェイスブック(Facebook)、ユーチューブ(YouTube)などによって情報を拡散させることだ。抱樸のホームページを見ると、これらを積極的に利用している様子が見て取れる。抱樸の活動に共感する人たちが、ツイッターなどで情報を受け取ると、自分で寄付をするだけでなく、その情報をさらに拡散してくれる。
情報を受け取り、拡散してくれる人の中には影響力のある文化人、芸能人もいたりする。そうすると、さらに多くの人が情報を得て、行動を起こすことにもつながる。そんな広がりがあれば短期間で大きな寄付金、資金を集めることができる。新聞やテレビで伝えられなくても、ネット情報だけで大きなうねりを起こすことができる。
さて、ここでは「あなたもネットをうまく活用し、寄付や資金を集めよう」などと言いたいわけではない。信頼したり、尊敬したり、ただただ好きだったりする友人、知人、有名人などがネットで発信する情報も一つの参考にして社会貢献してみては、というのが今回の本題だ。
ある専門家は「特に若い人たちは友達の情報をマスコミの情報よりも信頼する傾向がある」と分析している。マスコミに身を置く人間としては「それはないだろうと」と思うのだが、現実はそうなのかもしれない。若い世代はもうすでに友達のツイッターなどの情報を参考に日々を過ごしている。クラウドファンディングの利用者も若い世代が多いらしい。
もちろん、ネット情報は玉石混交で、信頼する人だって誤った情報を拡散させる恐れはある。うのみにするのではなく、自分でも調べてみるなどの手間は惜しむべきではない。しかし、世の中には支援が必要な事柄が何百、何千、何万とあり、もしそれらに寄付などしようとしても、すべてに応じることは不可能だ。自分の中で優先順位を付けざるを得ない。そんなとき、好きな人からの情報は一つの参考、大きな参考になるのではなかろうか。そしてそんな情報はネット上で簡単に得ることができる時代だ。
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